「商工とやま」H15年8・9月号

特集
「富山県経営品質協議会(TMQA)」設立記念企画

「経営品質向上活動」ちゃ、なんけ?


 「経営品質向上活動」とは、「顧客本位に基づく業績の卓越性」を徹底的に追求し、顧客や市場の視点からたえず「経営全体の仕組み」を見直し、自社の強み・弱みを客観的に自己評価することによって「経営革新」へとつなげて、長期的に競争力を維持・発展させる強い経営体質を築いていくための活動です。
 この企画では、読者の皆さんに、経営品質向上活動の内容をご理解いただけるように、Q&Aでご説明します。(“Q”は富山弁となっています)

時代は変わった
「製品の品質」から『経営の品質』へ

 ■Q.1「経営品質」ちゃ、そもそもなんけ?あんまり聞かん言葉やぜ。

A.1
「品質」というと、これまでは「製品の品質」を指すのが一般的であり、また妥当でもありました。
 しかし、製品の品質さえ追求すれば顧客・消費者の要求・期待に応えられたのは、もはや過去のことです。
 今や先進各国では、「供給過剰」の時代、つまり需要側=市場・顧客側に主導権が移っています。これまでのような企業側主導の考え方、「製品品質を向上させれば売れる」「良いものを安く作れば売れる」といった考え方は通用しなくなっています。


 ■Q.2 顧客側に主導権が移ったら、企業は何を考えなんがけ?

A.2
「顧客主導」の流れへの対応は、近年「顧客満足(CS)」「顧客価値」重視の考え方のもとに各企業で取り上げられています。しかし、ややもすると単なる接客マナーレベルでの対応に終始したり、口先だけのスローガンに陥ったりという事例が多かったのも事実です。このようなことの反省に立って、業績向上につながる真の顧客重視を実践するには、企業の製品・サービスは言うに及ばず、企業の「あらゆる部門・あらゆる業務」を「お客様の要求・期待の視点」から見直すことが最重要の経営課題であるという認識が、好業績企業を中心に広まってきています。


 ■Q.3「真の顧客重視」と「経営品質」ちゃ、どういう関係け?

A.3
 「顧客の視点」から見た「経営の仕組み」の質的レベルを表す概念が「経営品質」です。つまり、経営品質とは単に製品・サービスの品質を意味するのではなく、顧客によって競合他社との比較の上で評価され、支持される「企業活動のトータルな質」(マネジメントクオリティ)を意味するものです。
 「経営品質」向上の考え方は、アメリカ産業復活の源泉とも言われる「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)」に始まり、我が国では(財)社会経済生産性本部が1995年に創設した「日本経営品質賞」に反映され、急速に普及しています。

 

結果には原因がある
「業績」は「仕組み」で決まる

 ■Q.4 つまり経営品質ちゃ、「経営の仕組み」ということけ?

A.4
「肥満で血糖値が高い」という“問題のある「結果」”を抱えている人には、「食べすぎ、運動不足」という“問題のある「原因」”が背後にあるのと同様に、企業が抱えている“問題のある「結果」”もその背後に“問題のある「原因」”があります。
 つまり、利益・売上、顧客満足度、人材の能力など、企業の「業績」(結果)の良し悪しには、リーダーシップ、業務管理システム、人事管理システムなど、経営の「仕組み」(原因)の良し悪しが根本にあるわけです。この「経営の仕組み」の良さのことを《経営品質》と呼びます。健康な体は“生活習慣”を変えることによってもたらされるように、健全な企業体質も“仕事の仕方・経営の仕方”=「経営の仕組み」を変えることによって実現されるのです。


 ■Q.5 そんながけ。なんやら少し分かったような感じやけど、「富山県経営品質協議会」ちゃ、どういう活動しとるがけ。

A.5
 富山県経営品質協議会では、富山県内の企業が発展するために、「顧客本位の卓越した業績を生み出す仕組みづくり」を目指した「経営品質向上」活動への取り組を支援しています。
 協議会に参加されますと、(1)経営革新のデファクト・スタンダードである「経営品質向上プログラム」を学び、導入するために必要な情報が得られる。(2)「経営品質向上プログラム」の社内導入・展開のための人材育成に役立ちます。(3)企業間ネットワークを生かすことにより、問題意識の高い経営幹部との相互交流ができます。このような様々なメリットを享受することができます。

 

さあ、一緒に経営品質向上活動を始めましょう

 ■Q.6会員の皆さんはどう言うておられるけ?

A.6
○今まで正しいと思い、また分かっていたつもりのことが、顧客の視点から見てみると、実は間違いだらけだと、定例会の勉強を通じて気づかされました。ひとりよがりのやり方では、利益も上らないことを思い知らされ、真剣に経営品質に取り組もうと考えています。
○もっと早くこの経営品質の考え方に出会っていたら、と思うと,過ぎた時間が惜しい気持ちになりました。初めて経営の「軸」になるものを手に入れたように思います。早速、幹部社員全員で「アセスメント基準書」の学習を始めることにしました。
○定例会の講師は、経営者や管理者の耳には痛いことをズバリ言うが、経営体質改善の観点からは筋が通っているので、いつもむしろありがたく聴いている。
○協議会は、経営者層の方々が多く参加され、我々管理者としても経営的観点からの意見交流が図れ、また異業種交流的な意味合いでも、とてもよい刺激になっている。


 ■Q.7仲間からも「早く入会せま」と言われたがやけど、どうすればいいがけ?

A.7
 富山商工会議所にあるTMQAの事務局にお問合わせ下さい。年会費は一口3万円で3名まで登録でき、定例会や講演会に無料で参加できます。
 是非、この機会に経営品質向上へ取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

 

■お問い合わせ先 富山県経営品質協議会事務局(富山商工会議所内)(076)423−1175

 

富山県経営品質協議会が発足

代表幹事に朝日重剛当所副会頭を選出

 会員企業の経営革新を支援する取り組みとして、当所の創業・経営革新支援委員会(白倉三喜委員長)が昨年4月に設立した富山経営品質研究会を発展させ、他の経済団体や行政機関等とも連携し、県下全域に経営品質向上活動の啓蒙と普及・促進することを目的とした「富山県経営品質協議会」の設立総会が6月17日に開催されました。

 設立総会では、まず濱谷元一郎当所専務理事から、
(1)2001年11月に、新しく組織された創業・経営革新支援委員会は昨年4月に「富山経営品質研究会」を設立し、「アセスメント基準書」を教材とした定例会を毎月開催しているほか、県外企業で経営品質向上活動に熱心に取り組んでいる経営者を招いての講演会の開催など、活発な活動を展開してきた結果、2003年5月末の会員数が68企業、162名を数えている。
(2)活動メニューの一層の充実と、県下全域に経営品質向上活動の啓蒙と普及・促進を趣旨として、他の経済団体や行政機関とも連携した「富山県経営品質協議会」へと組織を発展・強化していく機運が高まり、設立発起人会が開催された。
(3)発起人会では、この協議会活動が安直なマニュアルの提示や新たな経営者団体の樹立を目指すものではなく、協議会に参加する企業の自主的・創造的な活動によって、富山県の、特に中堅・中小企業が共通した時代認識のもとで「経営革新」の芽を育て、その成果を産業界全体が共有することにより、県内産業界に新しいエネルギーを生み出す活動にしていくことが確認されたことなど、これまでの経過説明がありました。

 次に、総会の仮議長に白倉三喜富山日産自動車且ミ長を選び、議案審議に入り、第1号議案「会則の決定」が満場一致で承認されたのに続いて、第2号議案では、代表幹事には朝日重剛朝日印刷椛纒\取締役会長が選出され、代表幹事が指名した幹事会の構成リストが紹介され、原案どおり承認されました。最後に第3号議案「事業計画(案)、収支予算(案)の決定」が承認され、全ての議案審議を終えました。
 続いて、来賓の中沖豊富山県知事(代理/大原隆司富山県商工労働部次長)、森雅志富山市長(代理/久世幸夫富山市商業労政課長)、八嶋健三富山県商工会議所連合会会長より祝辞が述べられ、盛会のうちに終了しました。
 最後に、2001年度福井県経営品質賞知事賞を受賞したアイテック椛纒\取締役社長黒田一郎氏による「我社の経営品質向上活動と経営革新〜限りなき挑戦〜」と題した特別講演会が開催されました。講演では、厳しい経営環境の中で、悪戦苦闘しながら経営品質に取り組む赤裸々な姿を発表され、また、「経営品質に取り組んでいなかったら、今日まで生き残れていたかどうか……」という実感のこもった言葉に聴講者から多くの共感が寄せられました。
 「富山県経営品質協議会」の今後の活動予定としては、従来からの定例会や講演会の開催のほかに、セルフアッセサーを養成する「経営品質アセスメントコース」の開催や、「経営品質入門コース」、「経営者のための経営品質講座」など、経営品質向上活動に資する多様な研修・セミナー等を企画していくことにしています。


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