会報「商工とやま」平成21年06月号

経営応援コーナー
  第1回 増販増客実現のための売れない時代に売る戦略
    〜一見顧客の発掘から常連顧客に育てるノウハウとは〜



 当所は小規模企業が抱える経営上の様々な悩みに対してワンストップ支援を目指した『地域力連携拠点事業』に昨年より取り組んでいます。当事業は、創業や経営革新の承認を目指す企業を支援するほか、小規模企業の経営力の向上を目指した『見えない資産の把握・活用(知的資産経営)』、『ITを活用した経営管理』、事業承継などの様々な経営問題を抱える企業に対して、地域における様々な関係機関と連携を図りながら支援を行うものです。

 そこで、当事業で取り組んでいる知的資産経営におけるマーケティング戦略にテーマを絞り、実践方法や支援成功事例などを交えながら連載でご紹介したいと思います。自社(店)の強みを活かした経営改善で売上増加に挑戦をお考えの方は、是非、当所へご相談ください。


◇売れない時代に売るために。
  「富山の企業の活性化」を掲げての活動


 厳しい経済環境のなか「今までのように売れない」という悩みを抱える経営者・ビジネスマンの方は少なくないと思います。

 不況、原材料の高騰、少子高齢化などマイナス要因を挙げればキリがありませんが、こうした時代でも、確実に売上を伸ばしている企業は確かに見られます。しかも大企業ではなく、小さな個店やベンチャーの規模でも見られるのです。

 地域の活性化の基本は、地域の企業の元気、働いている人の元気だと感じています。企業が活動していくうえで、マーケティングは「攻め」、マネジメントは「守り」であり、両方とも大切なのは間違いありません。また、マーケティングは、増収増益・増販増客のノウハウでは前処理、マネジメントは、その後の処理、つまり事後策です。


◇どんなに有効な手法でも大企業でしか通用しないものは×
 売るノウハウの書籍は書店に並んでいますが、その多くは大企業向けです。


 図1のように、全事業所数の95%は中小企業。地方に行けばその傾向は更に強まります。

 しかし、売上増のノウハウを一番求めている地方市場に、その情報が届いていないのが現状です。そのミスマッチを解消するために生まれた企画・マーケティングの手法を、今後の連載の中でご紹介したいと考えておりますが、このような手法を取り入れて、実際に行動することで、富山県内の事業所や同規模の地方都市でも、売上増を実現した事例は数多く報告されています。


◇昨対比200%強など成功事例も続出。その共通点は…


 「昨対比200%達成」「年商が月商になった」などの成功事例には次の共通点があります。(図2参照)。

≪図2≫ 成功事例を多発する、共通点は…

 (1)短期間で効果が出やすい
 (2)ローコストで済む
 (3)無理なく続けられる。

          → わかりやすく、きわめて『現場』向きの考え方

 集約すれば「物量で劣る中小企業が勝つためのマーケティングの考え方」と言えるでしょう。マーケティングという言葉は取っ付きにくく、横文字は苦手と言われる方もいらっしゃると思います。

 次回以降にお伝えしていく、この考え方のもう1つのポイントは「わかりやすさ」です。難解な言葉に悩むことなく、スッと理解できる。結果、実行を早め、成果を高める。きわめてT現場・実践型Uの発想が成功のエンジンとなっています。

 最初に述べたように、マーケティングは攻めで、マネジメントは守りということを考えますと、この売れない時代にどちらを先に考え実行していくことが必要かは、私が言うまでもないことだと思います。スポーツの世界で考えていただければお分かりと思いますが、試合前の準備として、相手を知ることからはじめていませんか?。もちろん、チームの強みや戦略を分析したうえで、試合に臨むことをしています。攻撃(マーケティング)は相手に合わせて組み立てていきます。企業がマーケティングで攻めていく上でも、自社の商品やサービス(コンセプト)をしっかり理解したうえで、顧客(ターゲット)をしっかりと設定する。

 そして、顧客心理に合わせた戦略(プロセス)を設計する。手法のポイントは様々ですが、売り手側ではなくて買い手側から見た発想がなければ、顧客の心を掴む戦略にはなりません。

 次回以降、中小企業が攻める企業戦略としての増販増客のキーワードや事例を具体的にお伝えしていきます。



当所地域力連携拠点事業の専門家/石橋孝史氏((株)ヒューマンサポート/取締役部長)に執筆のご協力をいただいています。


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