会報「商工とやま」平成22年12月号

経営応援コーナー(新連載)
 〜ビジネスチャンスを活かすのはどれだけ効果的にアピールできるかで決まる!〜
 第1回 プレゼンテーションの技術を商談に活かす

 前回までは「自社の経営課題を見抜き、新しい成長戦略を創造する」をテーマに、厳しい時代を乗り切る戦略について事例を交えながらご紹介しました。今回から、「作り上げた戦略をどのように浸透させるか?」をテーマにご紹介(全4回)します。


◇企画は通さないと意味がない! 自分の伝えたい内容を「企画書」に!


 ビジネスの世界において、提案型営業という言葉をよく耳にします。この提案の際に、どうしても必要になるのが「企画書」です。例えば、商談における顧客への自社新製品の発表や業務の提案、また社内において自分が考えたプランの発表など、様々な場面で企画書は重要となります。

 では、「企画書」はどのように作成すればよいのか? そのポイントは効果的に相手に思いを伝えるために、しっかりと自分の考えをまとめることです。


◇伝える事が出来ない? そんなことではビジネスはできない!


図1 分析をもとに成功するプレゼンテーション5つのステップ  「企画書」が出来上がれば成功だ、と思う方が多くいますが、いくら素晴らしい企画を立案しても、ビジネスでは必ず成功するとは限りません。
 例えば、企画の内容を自信無さげに伝えたとしたら、また、言葉の羅列のみで論点が見えなかったら、相手はどう感じるでしょうか?
 つまり、最も重要なのは「企画書」をどのように伝えるか、です。言い換えると、如何に効果的にプレゼンテーションを行うかで、提案内容の伝わり方は大きく変わります。また、「企画書は上手く作れたが、プレゼンテーションで自滅した」という失敗談もよく耳にします。

 そこで、プレゼンテーションを成功させるための5つのステップを見てみましょう(図1)。

 プレゼンテーションを行う上で大切なのは、先ず、目的をはっきりさせることです。
 例えば、新規事業を行うための支援をお願いする場合、新しいアイデアや企画を発表した上で、人を説得し、心を動かせることが求められます。つまり、相手に事業の社会的意義を伝え、「必要だ、支援したい」と思わせることです。目的をはっきりさせ、明確に伝えることが出来なければ、いくら「想い」があっても日の目を見ることはないのです。


◇話好きの人がプレゼン上手とは限らない


 「私は話下手でプレゼンが苦手」とよく耳にします。逆にウケ狙いやパフォーマンスに走り、饒舌になってしまうことは、話上手が陥りやすい罠です。
 どちらにしても順序を整え、しっかり構成を練ることが重要です。そのためには、3Wで考える必要があります。
@WHO…誰に?(社内か・社外か・当事者か・影響者か・社長なのか)
AWHAT…何を?(課題の改善策・契約の延長・新規取引なのか)
BWHY…何のために?(買ってもらうため・詳しく知ってもらうためなのか)
 プレゼンテーションでは、以上の3つの要件を明確にすることが最低限必要です。更に、付け加えると、
1.簡潔
2.わかりやすさ
3.印象に残る
ことも必要になります。

 話が上手いとか、アニメーション効果を使った資料を作成したとかいうことよりも、『伝わること』=『相手の立場で見る・考えること』が先決です。
 要するに、ビジネスにおけるプレゼンテーションのポイントは『伝達力』だということを理解した上で、提案を実現させていくことが重要なのです。

 次回は、プレゼンテーションのコツを、さらに具体的に分解しながら、効果的にアピールする方法についてご紹介していきます。



当原稿の執筆は、中小企業応援センター事業の専門家/石橋孝史氏((株)ヒューマンサポート/取締役)にご協力をいただいております。

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