会報「商工とやま」平成24年1月号

年頭所感

富山に誇りと自信を持ち、元気で活力ある地域の実現を目指す

  富山商工会議所   会 頭 犬島 伸一郎


 平成24年の新春を迎えるにあたり、謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、会員の皆様のご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げます。

 昨年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、多くの人命が失われ「1000年に1度」と言われる大災害となりました。地震直後に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故は、東北地方に放射能汚染被害をもたらし、また、各地の原子力発電所の運転停止による電力不足が、企業活動などに大きな影響を及ぼす事態となっています。

 このような未曾有の大災害のなかで、昨年のわが国経済は、長引くデフレ基調に加えて、欧米の財政危機などによる深刻な円高の影響を受けており、多くの業種で底ばい状態から脱却できず、中小企業を取り巻く環境は非常に厳しいものがあります。

 当地域は、幸いにも地震や台風などの自然災害の影響をほとんど受けませんでしたが、地域経済は比較的堅調に推移する一部の業種を除き、全体的には未だ明るい兆しが感じられず、特に小規模企業においては疲弊の度を増しています。

 このような時期にあって、商工会議所は地域の総合経済団体としての使命である「地域商工業の発展と社会福祉の増進」の原点に立ち返り、必死に頑張っている地元中小・小規模企業の方々の声に耳を傾け、共に悩み、知恵を出し、行政機関や各関係団体と連携を深めながら、経営革新の推進や雇用の創出・拡大など、活力ある地域社会の創造に向けて全力を尽くして行動してまいりたいと考えておりますので、よろしくご支援のほどお願いいたします。

 具体的には、当所経営指導員と中小企業診断士などの専門家とのチーム編成による「商工会議所職員が一緒になって考えますプロジェクト」により経営支援体制の強化、ITを活用したビジネスマッチングの支援など、ものの考え方を切り替え、新しい価値観を生かしたネットワーク作りを一層推進するほか、地域の中小企業の皆様が直面する諸課題に対し、経営、金融、税務、労務、法律などの専門家による相談支援体制を強化してまいります。

 また、当地域では、経営環境の先行き不透明感もあり、新卒採用を含めた雇用環境が厳しいことから、富山県の「県内企業人材養成モデル推進事業」を引き続いて受託し、新規学卒未内定者などを正規雇用につなげる事業に取り組むほか、講習会や研修講座の充実を図るとともに、商工会議所の各種検定試験の普及促進や、地域の産業人材の育成にも努めたいと考えております。

 平成26年度末には北陸新幹線が開業する予定であることから、交流人口が大幅に増加し、地域全体に大きなインパクトを与えることが考えられます。当所は、北陸新幹線の研究資料などをもとに、部会や委員会活動を通して、先端技術産業の誘致や定住人口の増加、観光・コンベンション誘致など長野〜金沢間の開業に向けた諸課題を整理するとともに、富山の顔となるJR富山駅周辺地区の整備促進や中心市街地の魅力と活力の創出について関係機関に働き掛けてまいりたいと思います。

 北陸三県にネットワークを広げた事前予約型商談会「とやまビジネスドラフト」は、今年3月に富山市で開催し、富山・石川・福井の商工会議所、商工会の会員企業同士の交流やビジネスチャンスの拡大に取り組むとともに、毎回テーマを設けて開催している「会員ビジネス交流会」も引き続き年4回開催し、受注や販路拡大などの顧客発掘に寄与してまいります。

 また、当所に入会されて間もない会員の皆様に商工会議所をより身近に感じていただくため、会員企業間の交流やビジネチャンスを提供する「新入会員の集い」や「新春会員講演会」を今年も開催し、商工会議所の各種サービス事業を紹介するとともに、新入会員の方々の相互の交流も促進致します。

 富山に誇りと自信を持ち、より元気で活力ある地域の実現を目指して、富山県・富山市をはじめ行政当局、関係団体とも連携を深めながら、会員の皆様と共に果敢に行動してまいりたいと考えておりますので、今後とも一層のご支援ご協力をお願い申し上げます。

 最後になりますが、新しい年が会員の皆様ならびに関係各位にとりまして希望に満ちた飛躍の年となりますことをお祈り申し上げまして、私の年頭の挨拶といたします。

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