富山商工会議所は、富山県が実施する「県内企業人材養成モデル推進事業」を受託しており、新規学卒者と中小企業のマッチングとサポートを行ってきました。
「県内企業人材養成モデル推進事業」を受託した企業では、新規学卒未内定者等を1年間雇用し、人材養成計画のもと、実務や訓練等が行われます。平成22年度以来、これまでに87社で128名が採用されました。本誌では、この事業を活用して人材養成を実践した企業をご紹介しています。
今回は、平成24年度に当事業を活用した株式会社フクールの代表取締役社長の福崎秀樹さんと、当事業によって採用・育成された同社カスタマーサポート部の山本大貴さんにお話を伺いました。
お客様の情報システム部として
株式会社フクールは、複合機・コピー機、ソフトウエアなどの販売と保守・サポートやソフトウエア開発、セキュリティ対策などのサービスを通して、中小企業のIT化をトータルでサポート。単なるコピー機や複合機の販売と保守だけにとどまらない総合的サービスを提案する「お客様の情報システム部」として、多くの顧客から信頼を獲得しています。
当社は1974年に現会長の福崎秀保さんが福崎事務機商会として個人創業。1977年にはキヤノンビジネスパートナー店となり、以来、多くの企業のOA化、情報管理に貢献してきました。
そして2007年には株式会社フクールに商号変更し、福崎秀樹さんが代表取締役社長に就任しました。2012年にはクラウド事業もスタートさせるなど、刻々と変化する時代のなかで、安心できる情報システムを提供。地域密着型の企業として企業体制を強化しています。
さらに強い組織づくりのために
そんな中、今回の人材養成モデル推進事業に応募。新人研修を通して、さらに強い組織づくりを進めています。福崎社長は今回の事業について次のように思いを語ります。
「当社では、最近まで主に中途採用を行ってきました。また、新卒採用をすると、やはり自社のみで人材育成をして、企業文化を根付かせる難しさを感じていました。育成に対しての費用もかかる中で、この事業を紹介していただき応募したのです。当社では中小企業のIT部門をトータルに担う企業を目指しており、そのようなスキルを持った若い人材を育て、より強いチームを作りたいと考えています」
研修内容を社内でも共有
山本さんは1年間のプログラムを通して、OJT、またOFF・JTなど、社内外での研修で体系的な育成プログラムで学び、カスタマーエンジニア・CEとして、また社会人としての大切な基礎となるスキルを磨いていきました。
山本さんに特に印象に残った研修について伺うと、社外での「クレーム対応セミナー」とのこと。日頃、顧客のサポートにあたる山本さんにとって、有意義な講義内容でした。
「お客様に、ただ謝るということではなく、そのクレームで、何を求めておられるのかをよく聞き、理解すること。また、問題点をまとめ、次に解決策を提案し、納得していただくまでそのプロセスを繰り返すことなど、その一連の流れを実例を通して学ぶことができました」
さらに、フクールではその内容を、社内の全体会議で報告する機会が設けられ、社内での情報共有やコミュニケーションにつなげることができました。
人間性を育て、強いチームに
福崎社長は次のように、今回の育成プログラムの良さを語ります。
「これまでももちろん、社内外の研修は行ってきましたが、どちらかというと場当たり的でした。今回のように全体を通して、計画的、体系的に実施することは非常に参考になりました。新人研修に限らず、人が育つ場を作ると言う事は、やはり常にコミュニケーションが大事であるということを実感し、それについてもよく考えることができて良かったと思います」
そして、人材育成の上で大切なことは、人間性や人としてのあり方、人としての成長だと気付くことができたと語る福崎社長。
「お客様が本当に求めておられることは、技術や知識はもちろんですが、やはりお客様のことを思って積極的、自主的に行動できるか。当社をそんな人間性を持った者が集まる場にして、強いチームを作りたいですね。お客様や社会から求められる人になるというのが、我々サービス業にとっては最も大事なことだと実感しています。
今回、山本君が大きく成長したように、新卒者を育成、採用してみて、改めてそういう思いを強くしました。高い目標を持って皆で努力しながら、全社で人間性の成長を目指し、お客様に愛される会社にしていきたいと思っています」
ESETセキュリティ認定事業社に
また、山本さんは、最近、重要性が高まっている情報セキュリティ技術の分野で信頼性の高いESET社のセキュリティのプロとしての試験に合格し、認定技術者となりました。これによって、当社には認定技術者が2名となり、ESET社の認定事業社となりました。
「山本君が入社してくれたことによって、当社の戦略としても、より意欲的にこの分野にチャレンジできるきっかけにもなりました」
情報セキュリティについて、昨今様々な問題が起きていますが、まだまだ認識と対策が十分ではない企業も多いく、当社としても顧客にさらにセキュリティ対策についてPRしていきたいとのことです。
トータルな情報管理システムを
株式会社フクールは、世界で一番使われているセールスフォース・ドットコム社のクラウドサービスのパートナー企業となっています。
「このクラウド型・情報管理システムは、顧客との関係性をより高めるためのノウハウがパッケージ化されている商品です。世界で最も使われているクラウドサービスで、小さな会社でも小さなライセンス数で使うことができます。
安全性、セキュリティ面でも、都市銀行が使用しているほど信頼性が高く、社内独自のシステムを作るよりは遥かに安全です。しかも、無駄な初期投資が発生しません。大企業が利用するようなシステムを中小企業でも活用できるため、高い費用対効果が期待できるのです」
当社では、クラウド型顧客管理・営業支援・業務改善システムのほかにも、販売管理・会計・給与・人事システムなど、顧客の環境に合った提案をしています。
ただ単にシステムを販売する会社とは違い、共有ネットワークやサーバ設置・設定運用なども含めて、お客様の業務に合わせたトータルシステムにカスタマイズが可能です。
「ソフトに合わせるのではなく、仕事に合わせた使い勝手の良いシステムのご提案が大事ですね。iPhoneを使って営業マンが日報入力や顧客情報を確認出来るシステムなどの開発、納入実績もあります」
また、「フクまる君」というパソコンやネットワークの保守・メンテナンスを定期的に行うサービスもあります。お客様のパソコン・ネットワークシステムを知り尽くしたシステム管理者による、低価格でスピーディーな対応が可能で、様々なトラブルに対応していて好評です。
ITで地域と企業を元気に!
ITコーディネートやコンサルタント業務をさらに進化させ、お客様の企業経営をより良くするためのパートナーになりたいと話す福崎社長。今年7月には実践ソリューションフェア2014を初開催し、当社の幅広いサポートや、最新の技術とシステム、独自のサービスが、多くの取引先に紹介されました。
「私たちの強みは地域密着型の丁寧なサポートができること。地域の皆様の身近なパートナーとしてお役に立ちながら、地域や企業を元気にできるような存在になりたいと考えています」
株式会社フクールの社名には、「福が来る」という意味が込められています。当社は、地域に新たな福を呼び込むパートナー企業として、最新技術のトータルサービスで新たな時代を切り拓こうとしています。