会報「商工とやま」平成26年12月号

新シリーズ/おじゃましま〜す
 当所副会頭 近藤駿明氏(近藤建設株式会社取締役社長)


 日頃から富山商工会議所の活動を支えていただいている副会頭の皆さんを訪ね、時には仕事を離れて、ご自身のこれまでの歩みや明日への期待などについてお話を伺いました。

夢はいろいろあったけど・・・


 小さいころは、多くの少年たちがそうであるように、パイロットや外国船の船長になりたいと夢見ていたし、また、広々とした北海道の地で牧場をやりたいと考えたときもありましたよ。
 自分でいろいろなものを作るのが面白く、飛行機や船などのおもちゃを手作りしたり、冬には竹スキーも自分で作って遊んでましたね。
 しかし、いろいろな夢を描いた都度、いつの間にか親父がひいたレールの上を走るよう軌道修正され、知らず知らずのうちに建設の仕事が自分の天職だと思うようになってました。


「朝礼暮改」は悪くない


 結局、親父の背中を見て育ってきたと思う。その親父の事業を引き継いで自分が信条としているのは「誠実と堅実」ということ。建設の仕事は、仕事を依頼する側と受ける側で、お互いの信頼関係を築くことが一番大切。家電や自動車のように前もって良し悪しを選べるモノを買うのではなく、無から有を作り上げるわけだし、億単位の取引きをすることも数多くある。日頃から、自分に誠実であることで、依頼主からの信頼が得られるのだと思う。また、決して背伸びをせずに、身の丈にあった堅実な経営に徹して今日までやってきた。これらのことは、企業の成長にとって、一見、遠回りのようで実は一番の近道だと確信しています。
 また、時代の流れに的確に対応するためにも、こだわっているのは即断即決です。仮に、間違った判断をしたとしても改めればよく、「朝令暮改」は決して悪い意味ではないと思ってます。それよりも、問題が起きた時に、ぐずぐず決断を先延ばしにして、手遅れになってしまうことの方が怖いでしょう。


昔も今も、ものを作る本質は同じ


 建設業界は、いわゆる3Kで人手不足に悩まされており、特に若い人材が集まらない。
 最近では、単なる人手不足と言うだけでなく、次世代への技術の伝承も心配の種です。
 自分が大学卒業後、熊谷組に就職した年は大阪万博の開幕5年前で、万博会場の建設もさることながら、地下鉄や高速道路などの公共工事で仕事は尽きず、景気の良い時期でした。
 一つひとつの工程が手作業であった当時に比べ、現代は建設機械も近代化、大型化が進んで隔世の感があるけれども、実はものを作るという点では昔も今も何も変わってません。先人から受け継いできたものづくりの本質を次世代に伝承していかなければならないと思ってます。


自分の作品に自信と誇りを持て


 一般の人は、橋や道路、ビルなどは空気と同じで、あって当たり前と感じているでしょう。しかし、建設業界に携わる側から見れば、自分も参加して出来た、そしていろいろな思い出が詰まったいわば、作品≠ナあり、後世に残るもの。これは、ほかの仕事ではないことですよ。その意味では、自分の仕事に誇りと自信を持てる、すばらしいこの業界に多くの若者に是非挑戦して欲しいのです。


人生設計図に向かってやり抜いて欲しい


 これから社会に出る若い人たちには、目的意識をしっかりと持って、自分の将来設計を真剣に考えて欲しいですね。一度決めたら、その設計図に向かって、途中で投げ出さずにやり抜く訓練を積み重ねてこそ、豊かな人生が約束されるのだと思います。(談)

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