会報「商工とやま」平成27年1月号
シリーズ/おじゃましま〜す
当所副会頭 河上 弥一郎 氏 (河上金物株式会社代表取締役社長)
富山商工会議所の活動を支えていただいている副会頭の皆さんを訪ね、時には仕事を離れて、ご自身のこれまでの歩みや明日への期待などについてお話を伺った。
遊び場はデパート、映画館、商店などなど
生まれも育ちも西町のど真ん中。子どもの頃、遊ぶと言えば、デパートで階段の手すりを滑り降りたり、映画館に潜り込んだり、近所のお店で隠れん坊など、遊び場には事欠かなかった。
まちの真ん中ということもあって、自分もそうだが、友達は皆、商売屋の子どもで、小さい頃から商売が身近にあった。親から言われていたこともあり、親の事業を継いでいくのだとしか思ってませんでした。
小学生の時、将来の夢についての作文で、「河上さんのところは立派な商売ですねと言われること」と書いて、先生から親が褒められたことが記憶に残ってますよ。
いろいろな経験が実績につながる
大学を卒業して、東京の商社で3年間のサラリーマンを経て、富山に帰って河上金物に入った。富山では青年会議所に所属し、また、商工会議所の活動にも参加したりして、いろいろ経験することができたし、仲間のネットワークも築くこともできた。
7年ほど一緒に仕事をした親父が亡くなり、会社を引き継いで33歳で社長に就任した。新人社長一人では何もできなかったけれども、役員をはじめ、従業員の力に助けられて、一つひとつ経験しながら今日まで来たんです。そして、青年会議所などの先輩や仲間からの様々な友情やアドバイスもとてもありがたかった。
こうした経験を積むことこそが自分の実となり、力となり、実績につながるのだといつも思ってます。
学び役から牽引役へ
社長に就任して、何でも自分の為だ、勉強だと思って一生懸命にやってきて、ふと気づいてみると、50歳頃には取引先の支店長や社長さんは、同年輩になってきて、60歳を過ぎると、皆さんほぼ年下という感じになってきた。
僕は若くして社長になって、周りのすべての人が先輩だから学ばせていただく思いでいたが、いつの間にか、どちらかと言うと自分らが引っ張っていかなければならない立場になってきたと実感してます。
商いは公事≠ナある
自分の職業は商業なんです。モノ作りではなく、いわば商品を介して人と人をつなぐ仕事です。
商品の性能や価格も大事な話だけれども、私はお客さんにお願いして、信頼をいただいて、商売に繋げていただくという、人と人との信頼関係で商売は成り立っていると思う。故に「和を以って貴しとなす」を信条としている。
これは、33歳の若造社長の私を鍛え、支えてくれたベテラン番頭の人生訓です。「商いは私事≠ナはない。人のため、社会のために行う公事≠ナある。より力強い活動が可能となる。そのためには、まず、お客様に誠心誠意尽くすことにより、深い信頼関係が生まれてくる。必ずうまくいく。堂々と適正利益をあげるべし」
人から自分の商売が必要だと信頼していただける限り、この商売を続けていこうと思う。
人との会話の中に次の展開がある
若い人たちには、自ら求めて切り拓こうとする姿勢を持って欲しい。自分は33歳で社長になって以来、絶えず挑んで経験を積んできた。
勇気をもっていろいろなことを経験して、いろいろな人と話をしてもらいたい。その会話に中に次の展開があると思うから。
たとえ経営状況が厳しい時でも、誠心誠意、嘘をつかずに正直に、嫌なことでも真摯に話して、相手の理解を得て物ごとを解決していく姿勢が大切だと思う。(談)