会報「商工とやま」平成27年1月号

新春座談会 
明日の富山を考える
   〜いきいきとした、元気な地域・街・人づくり〜

出席者/常議員 品川 祐一郎氏(富山トヨタ自動車(株)代表取締役社長)
      議 員 石坂 兼人 氏(石坂建設(株)代表取締役社長)
      青年部副会長 目谷 真史 氏
      女性会研修委員会委員 田中 七海 氏
私たちが大きな期待を寄せている北陸新幹線が、いよいよ3月14日に開業します。そして、願っているのは開業後10年、20年先に富山が元気であること。
 そこで本誌では、「明日の富山を考える 〜いきいきとした、元気な地域・街・人づくり〜」と題し、新春座談会を開催しましたので、その概要をご紹介します。


高まる新幹線開業への期待


-この北陸新幹線の開業にどのような期待を寄せておられますか。

●品川 本当に3月14日、楽しみにしておりまして、やはり全国の皆さまに富山の注目度が上がるタイミングですので、富山の食や文化、いろいろなものに注目し、関心を持っていただいて、一人でも多くの方にご来県いただきたいです。また、富山から他県、特に首都圏などに行っておられる皆さんに、もう一度富山の良さを思い返してもらって、帰ってきて欲しいと思います。

●石坂 念願であった新幹線の開業なので、いろいろと想像していた開業後の姿がそのとおりにいくのかという意味でも楽しみにしています。観光客がどのぐらい来るかという点では金沢などと比較すると、やはり一歩、二歩劣っているかなというのが正直なところです。ただ、東京と2時間になるわけですから、富山の産業は、薬関係や機械関係でまだ全国に出ていない技術等があると思いますので、新幹線を機会に注目される富山にも期待したいですし、また、出ていくチャンスにもなるのではないかと思っています。

●目谷 私は事業所が駅前エリアということもありまして、毎日駅周辺が少しずつ完成していく姿を見ています。1年前には全く違った絵姿だったものが今ああいうふうにできてきていること自体に、日々ワクワクさせられているところです。
 新聞等に載っている完成図そのものが3月14日にできるものと最初は思っていたのですが、実はそうではないのですね。東京駅ではないですけれども、3年も、5年も、もしかしたら10年後も工事中で、それが活気を感じるような駅前の姿だったりするのかと思うと、それもまた楽しみだなと思っています。

●田中 私は生まれてからずっと富山市在住なのですが、だいぶ富山も変わってきました。新幹線が通ることで、また新しい富山が発信されると思うのですが、観光客を呼ぶには、やはり自分たちがもっと富山に誇りを持つことが大事だと思います。例えば富山に住みながらも立山に登ったことがないだとか、宇奈月のトロッコに乗ったことがないという方もたくさんいらっしゃると思います。素晴らしいところがいっぱいあるので、まずは富山県民、富山市民がもっと富山の良さに気づいて、それを一人一人が個々に全国発信していけるようなことになれば、新幹線開業後もさらに明るい富山が見えるのかなと思います。


富山の強みを発信しよう


-新幹線開業はプラスの面、マイナスの面、いろいろな影響がある中で、新幹線の沿線あるいは全国の県庁所在都市などと比べて、富山が通過駅で終らないために売り込めるような強みは何でしょうか。

●石坂 電力事情から機械やアルミなどの産業が発達してきた背景が富山にはあります。全国発信するのがあまり上手ではない県ですし、売り込める技術はまだまだあるのに知られていないだけだと思います。金沢とは、同じ土俵ではなかなか勝負にはならないけれども、富山の場合は産業が売れるのではないか、それが強みなのではないかと思います。

●品川 一般論になるかもしれませんが、おっしゃった水資源とか立地、いろいろな面で技術の集積が進んで、かつ、勤勉な県民性ということも相まって、人材の供給も果たしてきた県です。また、首都圏とも時間的距離が縮まることを契機に、富山の立地上のメリット、人材供給上のメリットも、大手製造業の方々により身近に実感していただけるのではないかという期待があります。
 また、食、芸術、文化など富山には本当にさまざまな魅力的なコンテンツがたくさんあります。今、FacebookやブログなどSNSで発信することができるので、ぜひそういった志を持っておられる方々には発信していただいて、全国にアピールして欲しいと思いますよね。


富山に人材を集めよう


-人口減少時代ですから、Uターン、Iターンは人材確保の面でポイントになりますね。

●石坂 富山は教育環境もすごく恵まれていますし、実際、全国の中でもかなり上位の水準にある。18年間富山で手塩に掛けて育てたのに、高校を卒業して他県に出ていく子たちが多いわけですが、そのまま行きっ放しというのは、富山とすれば非常に悲しい話だと思います。授業料を除いて学生時代は年間100万円以上の仕送りが必要なのに、その後も全て他県で消費されることになるのですから。私の息子も大学生で東京の方に行っているのですが、何か帰ってくる仕組みみたいなものが欲しいと思いますね。
 実際、私も東京で大学を卒業し、就職し、30歳ぐらいで富山に戻ってきました。30歳ぐらいまでは富山に帰りたいとは思わなくて、35〜40歳に近づいてきてやっと東京よりも富山の方が断然いい所だなということを再認識してくるわけです。一定期間、向こうに住んでみてからでないと分からないのかもしれないですが、富山は本当に素敵な所なのだということを伝え、分かってもらう方法はないのかなと思います。Uターン、Iターンができるように、企業などがもっと門戸を開いて中途採用にもっと積極的にならなければいけないのかもしれません。

●品川 そのためにも富山県の人口が増えて欲しい。そこで一つ思うのが、例えば進学や就職などで首都圏や県外に行かれた方にぜひ戻っていただきたいということ。私も大学と就職は東京だったのですが、あの頃は富山にない魅力を感じて行きまして、そういう魅力は確かにありました。だけれども、振り返ってみると、やはり富山には富山の良さがあり、よくよく考えると自分のアドバンテージがたくさんありました。人脈も親戚、友人がたくさんいる、地理も土地勘も分かっている、文化も、風土も、言葉も分かっているんです。もちろん中央でグローバルに自分を生かそうとすることも大切。実際にそういった人材供給も富山県はずっとやってきた自負があるはずです。今後は、そういう方々にもう一度富山に戻ってきていただいて、さらに自分のフィールドを深く、広げていただきたい。
 そして我々は本業を通じてそういった魅力を訴えなければいけないと思います。それぞれの事業を通じて、こんなおいしいものを出しますよ、こんな魅力的なイベントをやりますよ、こんな素敵な建物を造りますよ、こんな働きがいのある職場を我々経営者は提供しますよ、と。そうやって県外に出られた富山出身の方に一人でも多くUターンして欲しい。Iターンでもいい。
 人口が増えれば、商品も増え、出生数も増え、生産も増える。そのきっかけとして新幹線開業で注目を集めるこのタイミングを有効に使えたらいいなと思います。

●田中 働き口も含め富山には魅力がないから帰る気がないという声も聞かれます。学びに都会へ行くというなら、学べる場が富山にあればいいのではないでしょうか。今、各地で地域ブランディングが行われていますよね。最近富山では映画が撮影されることが多いですし、例えば映画制作など芸術系の学校が富山にあれば、他県から来る若者が増えます。そこからそのまま富山に就職、在住という流れもあるのではないでしょうか。学びたいことが学べる場所に人は集まりますので。

●品川 手芸、アート、美容関係など、我々自動車業界もいろいろなところでコラボさせてもらっているのですが、学びたいと思っている方は本当に多いですね。特に女性は。何かしらのスキルを持った方がワークショップを開くと、皆さん情報発信も情報収集もすごくて、結構人が集まりますね。

●目谷 私は飲食業で富山と金沢に店があって、アルバイトのほとんどが学生です。富山と金沢の学生を見ていると、金沢の学生は金沢ラブだなと感じるのですが、富山はそれがまだまだ足りないように思います。先ほどもありましたが、富山の学生は東京に行きたいマインドが強いと思います。でも金沢の学生は「行きたくない」という人が実はものすごく多いです。

●田中 恐らく、富山の学生にはドキドキ、ワクワクがないから、良さが人に伝えられず、広がっていかないのではないでしょうか。だから都会が良くなって見える。自分が富山にいて何か魅力的とか、ドキドキ、ワクワクがあれば、そういう気持ちは人に伝えたくなるではないですか。

●石坂 なるほど、富山の良さが地味なのですね(笑)。結構年を取ってから気付くようなことが多いのか、若い子にはちょっと分かりづらいのかもしれない。

●品川 でも、これから何かをつくっていくという魅力が富山は逆にあると思うのですよ。
 自動車関係も、今おっしゃるとおり、ワクワク、ドキドキというのがキーワードになっています。この間、ワクワク、ドキドキするような、車を使った楽しいイベントをやりますと、本当に大勢のお客さまが集まられるのです。我々もびっくりするぐらい。ですから、皆さん、やはり何か楽しいものを、ワクワク、ドキドキすることを求めていて、特に若い世代の人は、最近そんじょそこらの刺激や楽しさは、タブレット、スマホでネットを見ればあふれていますから、体感できるワクワク、ドキドキを求めている。出来合いのものを求めて都会に行くのもいいのかもしれませんが、自らいろいろなやり方でつくることが富山ではできるのです。食べ物を作った楽しさ、アート、趣味、花を使ったり、参加する人たちの生き生きした笑顔を見ていただきたいですね。
 そうやって富山の良さが広まって、大学等で一度は県外に行ったとしても、就職先として富山を見てもらうことが私は大事だと思います。Uターン就職やIターンを増やすことは良い人材が集まり、少子化対策よりも意外に即効性のある効果だと思っています。

●石坂 ワクワク、ドキドキする富山で活躍の場があると感じられれば、人材は集まるかもしれませんね。

●品川 その後は我々一人一人の事業主、事業者がやはり本業を通じて、自分の職場も含めて富山で働くことの魅力を訴えるということだと思います。こんな素晴らしい職場があるのですよと。単に利益だとか何かではなくて、「ぜひうちで働いてみないか」と言える職場を我々はつくらなければならないのです。


富山再発見の仕掛け


-地元のことを知らなくて、ドキドキ、ワクワクがないと思われがちですが、どうしたらよいでしょうか。

●田中 ○○体験ツアーのような取り組みも多いと思うのですが、そこにひと工夫があればいいのではないでしょうか。若い子ですと、パワースポットとか、ジンクス的なものが大好きですよね。例えば「好きな人とトロッコで欅平まで行ったら恋が実ります」のように、そこに行けば願いが叶うような何かがあると行きたくなる。環水公園の赤い糸電話のような感じです。

●品川 室堂に行って鐘を鳴らしてきたら結ばれるとか。

●田中 そうそう。逆にそこに行くと別れてしまう、というのもね(笑)。
 だから、新しく何かをつくるとかではなく、今あるところに何かを仕掛けていくという、実は簡単なことなのかもしれません。SNSなどで誰かが発信すれば、ばっと広まる時代ですしね。


若い人の「富山ラブ」


-目谷さんは、青年部で「学生まちづくりコンペティション事業」を担当されていますが、どんな事業ですか。

●目谷 これは学生、高校生、大学生を対象に富山の賑わいを創出する企画を募集し、優秀な企画には助成金を出して、実際にその企画をまちなかで実施してもらう事業です。全国的には行政と学生や、商店街と学生のように二者(2次元)で行う事例はよくありますが、この事業では富山県・市、富山商工会議所・同青年部、学生、商店街・企業というように3次元、4次元で展開するところが特徴です。
 募集する企画は企業や商店街と連携することが条件になっているので、どうしたらにぎわいが創出できるだろうと、これまでそんなことを少しも考えた経験のない学生が考えるわけです。そうやって考えること自体が、先ずもって富山の魅力を発見してもらうチャンスなのです。
 次は、どうしたら盛り上がるだろう、人を集めるためにはどういう工夫をすればいいのだろうということを考えます。これはミニ起業体験になりますし、企業や商店街と連携しながらやることになっているので、企業と直接お話をする機会になります。そうやって学生が実際に関わった企業や同業種の富山の企業に就職したということになれば、地元就職の仕掛けの一つとして私たちの目標だと思っています。
 高校生の発案で、東京にある富山県出身者の学生寮の皆さんで一つのチームを作って参加してもらおうということになり、私がその学生寮にお誘いに行ってきました。距離的にも費用的にも富山へそう何度も帰れないので参加は困難という結論になり、残念だなと思っていたら、その彼らが私の目の前で、全国各地から集まっている仲間たちに富山の魅力を語っているのです。この事業に関わったことで富山の魅力に気付き、それを県外で自ら発信している姿を見て鳥肌が立ちました。

●石坂 いいですね。実際に参加した学生たちが富山の魅力について語っているようことはありますか。

●目谷 そうですね。事業に関わることによって、ライトレールでまちが大きく変わったとか、その良さに早く気付くきっかけになったようです。これもこの事業の効果として注目できることだと思っています。

●品川 地元の学生たちはまちづくりになかなか目を向けないから、いろいろな所には遊びには行くけれども、富山のまちなかには出てこないと言われている中で、今みたいな目を向けてもらうためのきっかけをつくるというのは面白いのではないかと思います。そんなところから先ほどの「富山ラブ」を増やしていけたらいいですね。
 富山に若者が少ないわけではないです。イベントによっては、どこにこんな若者がたくさんいたのだろうというくらいに集まっています。11月にグランドプラザでの剛力彩芽ちゃんが来たファッションショーはすごい人出でしたね。テクノホールなどでも駐車場がいっぱいで会場に入れないようなイベントもある。コンテンツの持っていき方次第で、まず富山にいる学生を「富山ラブ」にできそうだと思いますね。
 同時に、我々企業人として申し上げると、大学生の皆さんに、中小企業に勤める魅力を私たちがもっと発信しなければならないということです。

●石坂 それもありますね。

●品川 都会に行って、大企業に入ってグローバルに世界で活躍される方々にはそこで頑張っていただければいいんですが、中小企業に入ろうと思ったら、やはり地元に来る選択肢が強くなると思うのです。鶏口となるも牛後となるなかれですから、規模は小さくても魅力的な企業で働く良さをもっと私たち企業人がアピールしなければならないのですよ。

●目谷 同感ですね。中小企業に勤めることの良さ、仕事の喜びは結構大きいような気がしますから、そういうところを上手に伝えればいいのですよね。

●品川 絶対に達成感、やりがいがあるし、経営者と密接に関わることができる。私も東京で一度就職して戻ってきましたが、こっちに来ると、起業も含めて、大変ダイナミズムがあると思う。やりがいはやはりやった人しか分からないので、そういったものを私たち企業人がもっとプレゼンしなくてはいけないと思いますね。中小企業を選択肢に入れていただける方を増やしていくと地元就職が増えると思うのですよね。
 それから家業を持っていらっしゃる方は、ぜひその家業を目的にして次の世代に繋げて欲しい。


魅力のあるコンテンツ


-例えば県外の方が訪ねてこられたら、皆さんはどこを案内されますか。何を楽しんでもらいますか。

●田中 県外の方が訪ねてこられると、いつもどこに行こうかなと迷うのですよね。いっぱい行く所はあるのですが、点在していたり、天気や季節で左右されたりするので、「富山に来たら、ここで記念写真を撮って帰ってください」というような場所が1カ所あるといいのですが。東京スカイツリーではないけれども、なるべくお金を掛けずに行ける場所。

●石坂 富山城址公園南西広場にあるAMAZING TOYAMAのモニュメントはどうですか。

●品川 熊本だったら熊本城とくまモンというように、富山に行って○○で写真を撮ってきました!みたいな定番のところ。歴史の有無は関係なく、何かシンボリックな場所が一つ欲しいです。富山駅で「かがやき」を降りて、そこに行って、その後ご飯を食べて、仮に金沢へ移動したとしても、富山に行ってきたよと言ってもらえる場所。室堂となると1泊になってしまうのでね。

●石坂 そうですね、定番のところが欲しいですね。今、室堂と言われましたが、私は立山黒部アルペンルートが通年型の観光地になっていないので、何とか真冬でも室堂まで上がっていってもらいたいですね。それで10秒だけでも猛吹雪の中、その外気に当たってくるということでも、県外から来たり、外国から来る人には魅力になるのではないでしょうか。安全性など問題もあるのでしょうけれども、逆転の発想で観光客を増やした網走の流氷観光や津軽の地吹雪ツアーのように、アルペンルートも猛吹雪が体験できると面白いと思います。視界が1mだとか、ホワイトアウトもそれが思い出になります。

●品川 宇奈月温泉駅で降りて、ぐるっと回って富山駅に帰ってくるというのでもいいですね。今はトロッコ電車で欅平まで行ったらそのまま戻ってくるだけですが、欅平から黒部ダムへ抜けて室堂経由で富山駅まで、ぐるっと回る感じですね。あのトンネルは一応つながってはいますが、開放していないですよね。

●目谷 私は仕事柄、食について考えますけど、富山と金沢の違いを考えた時に、金沢はどちらかというと食文化に喜びを感じておられ、富山もそれはあるのですが、抜きんでているのが食材そのものの旨さなのだろうと思います。素材の旨さは全国的にも発信しやすく、受け入れられやすいし、観光資源になると最近思っています。例えば、セントラム沿いに、駅前から始まってまちなかまで食のパラダイスが展開されていると最高ですね。

●品川 いいですね。10月にグランドプラザで行われた食とワインのイベント「イート・ワイン・トヤマ2014」はすごい人でしたね。

●目谷 はい。7月の「タナバタビアフェスタ2014」もすごかったですし、11月の「とやまイタリアフェスタ2014」も大勢の賑わいでした。結局のところコンテンツ次第なのだと思います。コンテンツをもっともっと充実させれば人は集まるということですね。
 それから、イートワインの時にはAMAZING TOYAMAも展開されていて、素晴らしいことだと思うのですが、直接的なスローガンを共有して能動的になれたらもっといいですね。先ほどの「富山ラブ」のように。


「富山ラブ」に向けて


-「富山ラブ」への思いをお聞かせください。

●田中 個々の思いや力が一つになれば大きいなパワーとなって発信できると思います。縦や横のつながりができて、温かみ、人間味が生まれる「富山ラブ」。人間関係が希薄だと言われる今、そんなことも解消できそうでいいですね。

●目谷 とにかくまずは自分たちが富山を愛するのだと。I?LOVE TOYAMAとか、WE LOVE TOYAMAではなくて、「富山ラブ」。そして県外の人にも愛してもらって、どんどん富山ラブを広げられたらいいかなという感じがします。

●品川 自身の事業を通じて地域社会にも貢献していきたいですよね。そして地域の人たちに笑顔や幸せ、「富山ラブ」をお届けしたい。その積み重ねが元気な富山につながると思います。これは今日から直ぐに行動できることであり、私たち事業者の役割だと思います。

●石坂 地方都市はこれから地方分権とか地域主権と言われて権限がだんだん大きくなっていくのでしょうけれども、その中でも選ばれ、生き残っていくのはごく一部なのかなという気がします。道州制などになればもっと少なくなるでしょう。そういう意味では今、富山の良さを再認識するのも大事ですし、我々自身が富山の良さをつくっていかなければいけないということを肝に銘じなければなりません。富山にいれば金沢や新潟の話ばかりになるのですが、全国の県庁所在地をはじめライバル都市はたくさんあります。そんな中で富山の良さをどうやって高めていくかということを意識して考えるのも「富山ラブ」。自社の業績だけではなく、そういうことも考えていかなければなりません。

●品川 ライバルをつくることは大事だと思います。私たち民間企業はライバルをベンチマークするなど、いい意味で競争があり、切磋琢磨できる良さがあります。新しいイノベーションはそこからしか出てこないと思うのです。

●石坂 これからはますます競争にさらされているのだと覚悟しなくてはなりませんね。

●品川 結局はお客さんに選んでもえるかという緊張感だと思うのです。そこに至るまでに、行政や業界に甘えるような発想をしていても無意味ですから、自分で頑張るしかないのです。「富山ラブ」に向けてまだまだやれることはたくさんあるはずです。


-北陸新幹線の開業は決してゴールではなくて、これからの富山に向けた出発点。今回お話いただいた内容は今後の当所事業に生かしてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。



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