会報「商工とやま」平成28年1月号

特集1
「平成27年度全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」を受賞

自然・産業・文化、交通を連動させた通年型観光への取り組みと発信力に高い評価


 当所はこれまで、富山のモノづくりを活かした産業観光に取り組んできました。
 この度、日本商工会議所「平成27年度全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の最高賞である大賞を受賞しました。


全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞とは


 日本商工会議所は、地域の個が光り、他の商工会議所の模範となる観光振興活動に取り組む商工会議所を顕彰するため、平成20年度に「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」を創設しました。
 表彰は、「大賞」1カ所、「振興賞」2カ所以内、「観光立地域%チ別賞」2カ所以内、「奨励賞」があり、平成28年度には「広域連携特別賞」が新設されることになっています。
 平成20年度の大賞は京都商工会議所。以降は豊後高田、松山、佐原、鹿児島、青森、北九州の各商工会議所が続いており、各賞も含めて歴代の受賞商工会議所は名の知れた観光地が多いなかで、今回は当所が大賞を受賞しました。


大賞受賞の理由


 大賞を受賞できたのは、当所が県内全ての商工会議所と連携し、地場産業を活用した産業観光を推進するとともに、「自然」、「産業」、「文化」とこれを結ぶ「交通」を組み合わせた通年型観光への取り組みとスマートフォンのAR機能をいち早く取り入れた点が評価されたからです。
 普通の観光資源でありながら、富山のモノづくりを切り口にし、工夫を凝らせば当地の魅力を存分に発信出来るという新たな道を切り拓いたということで、昨年度に作成した『富山産業観光図鑑2015』などの事業が評価されました。


事例発表で富山をPR


 表彰式は、11月12日(木)から3日間にわたり開催された「全国商工会議所観光振興大会2015 in しずおか」の全体会議で行われました。当所の木会頭が日本商工会議所の三村会頭から表彰状と盾を受け取り、参加した約1500名から大きな拍手を受けました。
 表彰式後の事例発表は、木会頭がプレゼンターとなり、立山・黒部アルペンルートや、おわら風の盆などの富山を代表する観光資源を紹介しました。
 そして、高く評価された『富山産業観光図鑑2015』にふれ、産業観光を縦糸に、祭り・文化・大自然を横糸に、公共交通を軸に織りなし、モノづくり富山の特徴を活かした新たな観光への取り組みについて説明しました。
 木会頭は「富山に来県の際は足を延ばして産業観光、大自然、文化に触れてほしい」と笑顔で呼びかけ、商工会議所や観光関係者らが全国から集まる場でのプレゼンテーションは富山をPRする絶好の機会となりました。


当所が取り組む観光振興


 観光振興は当所の地域創生事業の1つとして、これまで様々な角度から数多く取り組んできました。
 本賞の申請にあたり、『「自然」、「産業」、「文化」を結ぶ「交通」を柱に、県をあげて産業観光を推進』をテーマに、具体的なものとして次の事業を挙げました。
 富山県の一人当たり製造品出荷額が日本海側随一になっている特徴に着目し、平成14年度から取り組んでいるのが「産業観光」です。これまで富山県は、立山・黒部アルペンルートをはじめとする「自然」や、世界遺産の五箇山などが主力の観光資源でしたが、天候に左右されにくい「産業観光」を加えることで、通年型観光の定着を目指しています。
 平成26年度には、県内全ての商工会議所と連携して、「富山県広域産業観光推進委員会」を設置。来県者の多くがビジネスマンとなっている実情を踏まえ、県内商工会議所が一丸となって、日帰り出張から宿泊型出張にシフトしてもらうための仕組みづくりに取り組みました。
 このほかにも、岐阜県の神岡商工会議所と連携して、「飛越弁当神通峡」の開発にもつながった高山本線を活用したモニターツアー、「しゃべらんまいけ! 越中・とやま弁大会」で富山大学の中井教授の協力を得て製作した「外国の人にも知ってもらいたい! 富山のことば百選」、市内の路面電車(セントラム)をチンドン電車として「全日本チンドンコンクール」に活用するなど、富山の特徴を活かし、また商品化やインバウンドを意識した事業を紹介しました。


富山産業観光図鑑2015


 今回、受賞のポイントとなった『富山産業観光図鑑2015』は、県内商工会議所が連携して平成27年1月に発刊したものです。
 県内にある100以上の産業観光施設を掲載したほか、同27年3月に開業した北陸新幹線の県内3駅を起点に、9つの産業観光モデルコースなども紹介しています。
 また、AR機能(スマートフォンをかざすと各施設の詳細が読み取れる機能)を付与し、情報の詳細化とメンテナンスの省力化を図り、将来の外国語版にも考慮しました。電子書籍化してインターネット上でも閲覧できる仕組みも構築しました。
 さらに、マスコミに取り上げられたことで、掲載企業のほか、富山のモノづくり産業を広く周知するきっかけとなり、団体向けの企画旅行商品として、旅行会社からの関心が高まっています。
 『富山産業観光図鑑2015』の初版は、北陸新幹線の開業に間に合わせるため、限られた企業しか掲載が出来ませんでした。現在作成中の第2版では掲載企業数を増やし、内容の充実を図ることにしています。


産業観光を深化、発展


 木会頭の事例発表をお聞きになった日本商工会議所の三村会頭が、「富山には大自然、おわら踊り、それからお祭りと、すごいものがたくさんあるではないか」と言われたように、県内には、産業観光、伏木の曳山祭り、高岡御車山祭、砺波の子供歌舞伎曳山、城端曳山祭り、大伴家持の万葉文化、日本屈指の大自然があります。
 「祭りの魅力や観光資源としての価値を認知していなかったから発信できていなかったのだと思う。
 富山県の旅行消費額は約1350億円で、石川県の約3500億円や長野県の約7500億円、岐阜県の約3000億円には遠く及ばないというのが現状だが、発信できていない富山の魅力はまだたくさんあり、肩を並べるだけの力があるはずだ。
 観光資源の何と何を組み合わせ、誰に、どのように発信するかが我々商工会議所の腕の見せどころ。受賞を機会に県内商工会議所がますます結束を固め、この産業観光を更に深化発展させていきたい」と木会頭は抱負を語っています。
 会員の皆さまからのアイデア、ご意見なども是非お待ちしております。


<平成27年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」受賞商工会議所>
●大 賞  富山商工会議所(富山県)
●振興賞 長野商工会議所(長野県) 善光寺御開帳を活用した広域観光の推進
       福山商工会議所(広島県) まちなみと現代アートの融合により新たな地域の魅力創造
●観光立"地域"特別賞
       ひたちなか商工会議所(茨城県) 「タコ日本一」宣言で地域に元気を促す
       児島商工会議所(岡山県) 地場産業で地域の再生・発展を図る「児島ジーンズストリート構想」
●奨励賞 久慈商工会議所(岩手県) 「あまちゃん」のロケ地として北三陸の魅力発信
       熱海商工会議所(静岡県) 熱海コレクション「A?PLUS」を活用した観光振興と地域連携事業の推進
       美濃商工会議所(岐阜県) 自然、ITを活用した新たな顧客層への発信とブランドの構築
       小浜商工会議所(福井県) 若狭小浜の"癒し"グルメと観光情報発信プロジェクト

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