「商工とやま」H15年8・9月号

特別企画

いよいよ釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!
公開!

今回は富山を舞台に“大騒動”


ありがとう15周年! 全国一律千円で興行

 今回がシリーズ15作目(特別編含む)となり、富山県を舞台にいつもの大騒動とロマンスを繰り広げる松竹映画「釣りバカ日誌13〜ハマちゃん危機一髪!」が県内の映画館で7月20日(土)から一般公開された(全国公開は8月10日から)。この「釣りバカ日誌13」は、同いきいき富山実行委員会(会長は八嶋健三当所会頭)が松竹鰍ノ対して、かねてより富山を舞台にしたものを製作して欲しいと働きかけてきたもので、長年の誘致活動が実ったものだ。
 さて今回のストーリーは、鈴木建設の万年平社員のハマちゃん(西田敏行)が、釣り仲間で富山の老舗の薬問屋“天狗堂”の黒部五郎会長(丹波哲郎)から美術館の建設を受注したが、変わり者の黒部会長と設計部のエースのミス・スズケン桐山桂(鈴木京香)との間で設計上のトラブルが発生し、契約破棄の危機に…。
 ハマちゃんに黒部会長をとりなして欲しいと頼むが、ハマちゃんは富山湾の釣りのことで頭がいっぱい。
 立山連峰や富山の美しい自然を背景に、ハマちゃんとスーさん(三國連太郎)の釣りバカコンビは、一体何をしでかすのか。富山市出身の本木克英監督をはじめ松竹のスタッフが、ロケハンで富山を駆け巡った成果もあり、富山の良いところが臨場感あふれる映像で楽しめると評判は上々。
 こんな面白さがてんこもりの「釣りバカ日誌13〜ハマちゃん危機一髪!」は全国一律1,000円で鑑賞できる(但し、小人は800円)。全国一律1,000円興行は映画業界では初めて。西田敏行さんは「このシリーズがここまで続いたのは映画ファンの皆様のお蔭。松竹の意向には大賛成です。今まで以上に沢山の方が映画館の大きなスクリーンで観て楽しんでいただければ」と語っている。
 また、八嶋会長は、「富山の良さや素晴らしさが十分に伝わってくる作品になったと思います。映画の舞台を訪れる観光客の増加も見込まれますが、それ以上に、県民の皆様が富山の魅力や素晴らしさを改めて認識し、それらを自信と誇りを持って語り、県内外に向けてPRできるようになることが肝要です」と、富山の「新しい価値創造」の一つであることを強調していた。


VOICE

 本木克英監督(松竹)に聞く

「富山の魅力を思う存分に描けました。」

■「釣りバカ日誌13」がいよいよ公開ですね(県内では7月20日から)。

 僕にとっては、今回が「釣りバカ」の3作目になりますが、その中ではイチバンの出来になっています。ハマちゃんの西田敏行さん、スーさんの三國連太郎さんに加えて、丹波哲郎さん、鈴木京香さん、小澤征悦君などの出演者が充実していて、テンポもいいし、富山の素晴らしい風景や人情なども描けて大変に満足しています。東京で行った初号の試写会でも、西田さんや三國さんなどの出演者やスタッフも太鼓判を押してくれました。

■今回のハマちゃんは、大きな仕事をしたそうですね

 西田さんが演じるハマちゃんは、会社では仕事もせずに釣りのことばかり考えているダメサラリーマンというイメージですが、今回は、釣りの人脈で富山の美術館建設という大きな仕事に結びつけたんです。昨今のゼネコンの厳しい状況が、ハマちゃんに仕事をさせたのかもしれませんね(笑)。

■今回のテーマは?

 僕自身は、「釣りバカ日誌」シリーズを単なるコメディや観光映画にはしたくないと思っています。今回は、女性の社会進出というテーマを描きたかったので、鈴木京香さんに鈴木建設のエリート設計士の役でヒロインをやってもらいました。もう1つのテーマが、環境とマッチした建物のデザインの大切さです。県立水墨美術館をイメージしています。

■富山での撮影にも相当に時間を割かれたとか

 現地での撮影は通常は2週間くらいですが、今回は富山での美術館のデザインをめぐるストーリーが中心のため、3週間も充てました。

■富山のどのようなところを撮りたいと思われましたか?

 この映画の主題が「釣り」ですから、富山湾での大きな釣果は当然ですが、海から見る3千mの雄大な立山連峰は撮りたかったですね。実は、今回の舞台が富山に正式決定する前の去年の11月、密かに富山を訪れ、シナリオのイメージを膨らませていたんです。富山湾のブリをハマちゃんに釣らせよう。しかもアクティブに、とか、井波の彫刻や町並みも入れよう、自然と調和した美術館の建設予定地や富山の老舗の薬問屋のイメージをどうするか、自然の豊富な富山をどう描くか。富山に決まった後も、何度もロケハンを行い、スタッフのほか、富山の関係者の方々にも大変お世話になりました。

■順調に撮影は進んだようですね

 5月の連休前から富山での撮影が始まったのですが、奇蹟といっていいほど、お天気には恵まれお蔭さまで順調に進みました。鈴木京香さんと小澤征悦君の若い2人が立山・天狗平でスキーをするシーンなんかは本当に大パノラマで、「とても日本とは思えない」とスタッフも感嘆していました。

■今の心境は?

 監督としてやるべきことは全てやり終えて、ホッとしているところです。今は多くの方に観ていただきたいと思っています。

■最後にひとこと。

 今回は、富山の素晴らしいところをできるだけ多く盛り込もうとしましたが、泣く泣くカットしたところもあります。(上映時間は1時間48分)。
 富山が舞台ですので、「あっ、この人知ってる!」「ここは○○のところだ」の連続だと思いますので、見逃さないように。
 ただし今回の興行は、全国一律1000円ですので、見逃したと思ったら何度でも観に行っていただければ、松竹としても大変ありがたいのですが(笑)。

■早くこの映画を観たくなりました。監督の今後のご活躍を期待します。

(本稿は、去る7月5日に本木監督にインタビューしたものを編集部がまとめたものです)

 

本木克英監督のプロフィール
 昭和38年富山市生まれ、富山中部高校、早稲田大学政経学部を卒業して、昭和62年に松竹へ入社。木下恵介、勅使河原宏などの監督の下で修行を積み、平成9年『てなもんや商社』で監督デビュー。この作品で第18回藤本賞新人賞を受賞。シリーズ11作目の『釣りバカ日誌イレブン』から監督。38歳。


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