「商工とやま」2005年10月号

昆布〆調査レポート
“昆(こ)布(ぶ)〆(じめ)”を富山ブランドに 〜もっと語りあおう「とやまの昆布〆」を〜


 富山では、江戸時代からの北前船による交易で、「ニシンの昆布巻き」や「昆布巻きかまぼこ」「昆布〆」など「昆布による食文化」が生まれました。

 元来は、新鮮な魚の保存方法の1つであった「昆布〆」は、それぞれの家庭で作り継がれ、近年では、昆布の持つ旨み成分、栄養性などからグルメ志向や健康志向の方々にも広く親しまれるほか、おもてなしの食材や贈答品としても再評価されており「富山の価値資源」の1つです。

 そこで、当所は、「昆布〆」に関して市民・消費者がどのように評価しているかについてアンケート調査を実施(平成17年7月)しました。その概要をお知らせいたします。



■調査実施要領
 ・当所議員のほか、青年部や女性会の役員、部会委員から総数304人を無作為に選び、アンケート用紙を送付、記入後、郵送(またはメール)で回収した。165人から回答があった(回答率は54・3%)。

■回答者の属性
 ・性別/男性66%・女性34%
 ・出身/県内90%・県外10%
 ・年齢層/20〜30歳代15%、40〜50歳代52%、60歳代以上33%


■7人に1人は1週間に1回以上
▼頻度はどれくらいですか?
集計結果 ○ここ半年間で、「昆布〆」を食べたことの有無を聞いたところ、97%の人が「食べたことがある」と回答、「食べたことがない」は全体(165人)のうち5人に過ぎなかった。また、年齢層が高くなるにつれて「ある」と回答した人の割合が多くなり、20〜30歳代では、88%なのに対して、40〜50歳代では98%、60歳代以上では100%となった。
 また、その頻度については、「1週間に1回以上」が14%、「1ヵ月に1〜2回程度」が62%、あわせて76%、つまり、4人に3人が「1ヵ月に1回以上」は昆布〆を食べている、との結果になった。 


■富山の自慢できる食文化

○「昆布〆」が富山の自慢できる食文化であるかどうかの問については、「そうは思わない」「分からない」を大きく上回わる9割の人が「そう思う」と回答。「とやまの昆布〆」のブランド化に大いに期待している様子がうかがえる。


■ヒラメ・シロエビ・タイ・イカ…、いろいろな昆布〆も
▼次の魚の昆布〆を
食べたことがありますか?
集計結果 ○スーパー等で市販されている「昆布〆」の魚は「カジキまぐろ」(富山では「サス」などともいう)が多いが、他にもいろいろな魚を使った「昆布〆」がある。そのなかで、回答者が食べたことのある「昆布〆」の魚を聞いてみた。半数(50%)以上の人が食べたことがあるのは「ヒラメ」(89%)、「シロエビ」(70%)、「タイ」(58%)、「イカ」(58%)で、次いで「甘エビ」(40%)となった。


■刺身より美味しい

▼普通の刺身と
比べてどうですか?
集計結果 ○魚の身を昆布で〆めた「昆布〆」は、普通の刺身に比べて好きか(美味しいか)どうか、を聞いた。個人的な好みの差はあるのは当然であるが、半数以上の56%の人が「普通の刺身より美味しい」と答え、「普通の刺身の方が好き(美味しい)」(27%)を大きく上回った。



■県外の知人や友人に奨める
▼県外の人に奨めた
ことがありますか?
集計結果 ○このような美味しい富山の「昆布〆」を県外の人(たとえば親戚や友人・知人など)に推奨しているのだろうか。「奨めることが多い」(37%)、「たまに奨める程度」(42%)の合わせて79%(8割近く)の人が富山の「昆布〆」を推奨しており、先の「とやまの昆布〆は自慢できる食文化」を実感していることがうかがえる。



■「昆布〆」は家庭でも作る
▼家庭で昆布〆を作った
ことがありますか?
集計結果 ○とやまの「昆布〆」はもともとは家庭における魚の保存方法の1つであったが、今でも家庭で「昆布〆」を作っているのかどうか、を聞いてみた。
 自分の好みに合せて「魚屋さんにお願いして作ってもらうことが多い」という回答(12%)のほか、「家庭でたまに(いつも)作る」が半数(50%)、両者を合わせて62%の人が「自分(我が家)好みの昆布〆」を作った経験があるとのことであった。


■山菜の昆布〆も美味しい
集計結果 ○昆布〆の材料は魚に限らない。山菜(すすたけ・ワラビ等)の昆布〆も美味しいとの情報があることから、それを食べたことがあるかどうかを聞いたところ、72%の人が「食べたことがある」と回答。「山菜の昆布〆」も消費者の中に浸透していることが分かる。
▲1世帯あたりの年間の「昆布」の
支出金額上位15都市(H14年)
資料:総務省「家計調査年報」

 このように、市民はもちろん、県外の人からも「富山といえば美味しい昆布〆だね」ということが自然にでてくる、いわば富山ブランド化するために、「とやまの昆布〆」を機会を捉えて市民みんなで情報発信していきたいものです。



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