「商工とやま」H17年8・9月号

特別寄稿 「環境と創造のゆめ舞台 

 〜あふれる活力と豊かな自然を支えあう躍動のまち〜」を目指して

平成17年度/富山市商工労働部関係施策

 本年4月に、富山地域7市町村が合併し、日本海側有数の中核市として新しい富山市が誕生しました。

 平成17年度は新・「富山市」が将来に向かって大きくはばたいていくためにも大変重要な年であり、新市のまちづくりにあたっては広域的な視点と経営感覚を持って進めていく必要があることから、「まちのチカラ」、「人のチカラ」、「森のチカラ」を高めることを柱にしながら、新しい富山市の創造に向けた施策に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、平成17年度の予算は、新市誕生の年であり将来にわたる健全財政を築く大変重要なものと考えており、旧7市町村で申し合わせた事項を遵守しながら事業の必然性・優先性を考慮し創意と工夫を凝らして編成したもので、市民の夢や希望の実現に向けた新市の将来像「環境と創造のゆめ舞台〜あふれる活力と豊かな自然を支えあう躍動のまち〜」を目指して、各種事業に取り組んでまいります。



■企業誘致の推進と新産業の育成

 本市経済の活力を維持・発展させるため、企業誘致は大変重要であります。

 このため、新市域におけるそれぞれの地理的な優位性を活用し、生産環境や立地条件の整った企業団地の整備を促進するとともに、オーダーメイドによる用地整備やリース制度による用地供給方式など、企業の多様なニーズに応えながら、本市の優れた立地環境や助成制度のPRを行い、製造業、流通業、先端技術産業等の企業誘致に努めてまいります。

 また、バイオ・ナノテク・ITなど新しい成長産業分野の研究開発型ベンチャーの育成・集積を図り、産業・経済の振興・活性化を目指す「ハイテク都市基本構想」の中核となる新産業支援施設の整備に取り組むとともに、県や関係機関との連携により、バイオテクノロジー関連のセミナーや研究会を開催し、バイオ産業の育成を図ります。


■東京都内でのラッピングバスの走行など、薬業の一層の振興

 薬業の振興については、県内外で「富山くすりフェア」を開催し、配置薬の販路拡大を図るとともに、子供たちに「富山のくすり」の理解を深めてもらう「地域キャンペーン」を引き続き開催してまいります。

 また、300年の伝統をもつ「富山のくすり」をPRするため、東京都内でのラッピングバス(全面車体広告バス)の走行に支援してまいります。


■商店街の振興による商業・サービス業の活性化

 魅力ある商店街づくりが求められている中、「富山市商業振興ビジョン」に基づき、商店街が行う地域の特性に応じた魅力的な商店街づくりに対する取り組みを、引き続き支援いたします。

 また、富山駅周辺や中心商店街などにおいて、来街された人々誰もが快適に買い物ができるよう、まちの案内、挨拶、介助、清掃・整理などのさわやかな活動を、「T-angels」により実施してまいります。


■「地域再生マネージャー」などを活用した、新たな中心市街地の賑わいの創出

 空洞化が憂慮される中心市街地の活性化については、(株)まちづくりとやまによる、「街なかサロン“樹の子”」の運営や「インキュベータ・ショップ運営事業」、「まちづくり公房」での市民参加によるまちづくり推進事業を支援し、市民・商業者・行政が一体となったまちづくりに取り組みます。

 また、中心商店街団体等が行う「中心商店街区域のグランドデザインの策定」などの取組みに支援するとともに、平成18年度の「(仮称)グランドプラザ」完成予定に合わせた管理運営基本計画の策定や周辺地域での賑わいづくりを「地域再生マネージャー」を活用して検討してまいります。

 さらに、「中心市街地活性化コミュニティバス運行事業」への支援、高齢者を対象とする「おでかけバス事業」の通年実施、中心商店街地区における高齢者などの移動を支援する、「中心市街地タウンモビリティ事業」の実施と、4月から6月まで試行しました「中心商店街地区新駐車場システム」を本格導入し、中心市街地における来街者の交通アクセスの充実と回遊性の向上を図ります。


■金融、経営指導による中小企業の支援・育成

 中小企業の振興には、金融、経営指導の両面にわたる対策の強化が必要となっていることから、中小企業者の事業経営の安定と資金調達の円滑化を図るため、十分な融資枠を確保するとともに、借り換え制度として緊急経営基盤安定資金を継続し、中小企業者の資金需要に応えてまいります。

 また、中小企業者の経営相談に対応するため中小企業経営相談員を配置するとともに、「とやま企業経営未来塾」を開催し経営能力の向上を図るなど、経営指導の充実に努めます。


■デザイン活動拠点の設置など、デザイン・工芸の振興

 デザインの振興については、商業デザイン活動の活性化を図るため、デザイン活動拠点を設置し、運営を行う富山市デザイン協議会の活動を支援するとともに、「富山デザインフェア」を開催し、本市の商業デザイン活動の育成を図ってまいります。また、市民に街かどでポスターに親しんでもらうため、ポスター塔を増設してまいります。

 工芸の振興については、平成16年度に完了した拡充整備工事により体験機能の充実やレンタル機能を設置した富山ガラス工房をガラス文化の発信基地として、市民への一層のガラス工芸の普及、優れた人材の育成に努めてまいります。また、本市の貴重な伝統工芸である木象嵌の技術伝授への支援、並びに国指定の伝統的工芸品である越中和紙の伝承を支援し、後継者の育成や販路の拡大を図ってまいります。


■通年・滞在・周遊型観光の振興

 観光の振興については、市町村合併により本市は日本海沿岸から三千メートル級の山岳地帯に至る広大な都市となり、豊富な観光資源を有することから、これらを活かしながら通年・滞在・周遊型の観光を推進していくことが重要であります。

 このため、おもてなしの心醸成研修事業の拡大など、観光客の受け入れ体制の充実に努めるとともに、伝統的街並の保存や遊歩道の整備等による街なか観光の推進、並びにゴルフ場・スキー場・キャンプ場・温泉などの行楽地を活かした広域観光の推進に努めてまいります。

 また、富山空港にはソウルからの定期便が就航していることから、韓国からの観光客誘致に積極的に取り組むこととし、南砺市及び飛騨市と連携しながら広域的な周遊ルートを盛り込んだ観光商品の企画を韓国の旅行業者に働きかけてまいります。

 さらに、富山商工会議所が中心となって新たな観光資源を発掘しようとする産業観光ルートの策定などについて支援いたします。

 観光行事については、「全日本チンドンコンクール」、「富山まつり」、「おわら風の盆」、「とやまスノーピアード」など、四季に応じた魅力あるイベントとして県内外に情報を発信してまいります。

 また、コンベンション開催準備資金融資制度を新たに創設して、引き続きコンベンションの誘致に努めます。


■創業の支援と雇用の促進

 創業支援につきましては、「とやまインキュベータ・オフィス」や「ハイテク・ミニ企業団地」など創業者支援施設の入居企業を支援するとともに、都心地区において新たに事務所を開設するIT関連の創業者等を支援してまいります。

 また、ベンチャー企業の新商品出展にも助成してまいります。

 雇用状況が回復しつつある中で、依然として厳しい状況が続いている高年齢者・障害者の就業を支援するため、雇用奨励金の交付、高年齢者職業相談室の充実や障害者雇用の優良事業所への表彰を実施するなど、雇用の促進と安定を図ってまいります。

 さらに、本年度は、障害者雇用支援推進員による養護学校等の「就業体験」受け入れ事業所の新たな開拓や受け入れ事業所への奨励金の交付を実施し、障害者の雇用環境の改善に努めてまいります。

 また、雇用のミスマッチの解消を図るため、富山地域職業訓練センターのパソコン実用講座を通じて、求職者などの能力開発に努める一方、大きな雇用効果が期待できる情報通信関連企業にオフィス賃借料などの助成を行うとともに、新たな関連企業の誘致に努め、一層の雇用の拡大を図ります。

 勤労者福祉の向上対策については、勤労者の生活の安定を図るため、勤労者小口資金融資制度を継続するとともに、富山市勤労者福祉サービスセンターやファミリー・サポート・センターの運営について支援してまいります。



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