「商工とやま」平成19年1月号
新春座談会  わが街富山 飛躍への始動 〜中心市街地の活性化と価値創造プロジェクト〜

座談会写真
出席者: 笠原  勤 氏(富山市助役、(株)街づくりとやま代表取締役社長)
藤田  寛 氏(日本政策投資銀行富山事務所所長)
黒田 輝夫 氏(富山市商店街連盟会長、(協)中央通り商栄会理事長)
羽根  由 氏((株)生活ネット研究所代表取締役所長、グループエキキターゼ世話人)
司 会:濱 谷 元一郎 専務理事



 当所は、北陸新幹線が開業した後の富山が輝いているために、平成14年に「富山市価値創造プロジェクト」を立ち上げました。そして自分達の街は自分達で作ろう、民間で何ができるか、それを先頭切ってやろう、と各種事業に取り組んできました。
 それから4年経過して、昨年の富山市の市町村合併を契機に、活動の広域化と、行政や各方面と整合性をとりながら協働するという次のステップ、第2ステージに取り組んでいるところです。

 そこで、本誌では「わが街富山飛躍への始動」と題し、新春座談会を平成18年11月30日(木)に開催いたしましたので、その概要をご紹介します。



■都心全体が賑わう活性化計画

【濱谷】今年8月に「中心市街地活性化法」が改正され、富山市の活性化計画はどのように動いていますか。

【笠原】従来の活性化計画は商店街に焦点が当たっていて、まさに商店街を振興するための計画というイメージが強かったのですが、中心市街地活性化法が改正され、都心全体の総合的な活性化を目指し、内閣総理大臣の認定を受けた計画は、集中的に国からの支援を受けられるようになりました。ですから、商業だけの問題ではなく、生活や業務、文化など様々なこと全部含めて、都心に新しく賑わいを作るというものになります。

 今回の活性化計画では三つの柱があります。「街なか居住の推進」、「賑わい拠点の創出」、「公共交通の利便性の向上」。この三つの柱を立てて、申請エリアは436haなのですが、それ全体を総合的に活性化させようと計画しています。
 先ず「街なか居住の推進」については、既にスタートしている「街なか居住」の支援制度もありますが、これから、例えば高齢者がひとりで住めるような住宅の建設、あるいは市街地の中にごま塩状になっている空地が住宅に変わっていくような様々な施策を展開していきたいと思っています。
 それから「賑わい拠点の創出」でも既に動いている再開発事業もありますし、活性化計画そのものには書き込めていないもの、西武の退店後の問題や大和が移転した跡地を新しい賑わいの拠点にできるかということなどがあります。
 そして「公共交通の利便性の向上」につきましては、全国の中でも富山市は特徴ある計画になっていると思います。既にライトレールもスタートしていますが、併せて、このあと、市内電車を中心に環状線化等もやって、より公共交通を活性化させていくというものです。
 そういう内容で今、第1号認定を目指して国とも調整を進めているところです。


■商店街に必要なのは「来る理由」

【濱谷】この活性化計画には8年後の新幹線開業までの具体的な計画が盛り込まれるわけですが、新幹線の開業によって、ストロー現象や商店街の衰退というような悪くなったという話が多いようですが、活性化事業が成功するポイントはどういうところにあると思われますか。

【藤田】非常に難しい話だと思うのですが、新幹線は、基本的には歓迎すべきものであり、いいものだと思うのです。ただ、必ず負の面があるということですね。ストロー現象というのは、私は必ず起こると思います。しかし、それと中心商店街の問題が直接的にリンクするのかどうか。東京と2時間7分でつながるということは、高額なものを中心に一部の購買力が流出することはほぼ間違いないだろうと思います。宿泊客が減ったとか、支店や事務所がどんどん閉まってしまったというのは、近いところでは長野がそうなっているし、青森県八戸市あたりでも人口が減っているようですから、そういうことでは一部リンクすると思います。それを無理に止めようとするよりも、別の方向で新幹線を生かすということを考えるべきだと思うのです。

 一方で、中心商店街について言いますと、大型店の問題があるとは思います。しかし、やはり、「来る理由」というのでしょうか、大型店には行くが、こちらにはなぜ来ないかという「魅力競争」の部分が常にあるわけです。ですから、商店街独自の「来る理由」を持っているところというのは、それなりにまだ元気を保っているということだろうと思います。

 11月の初めに商工会議所の視察で佐世保と長崎を見てきましたが、佐世保の商店街は木曜日の昼下がりでも人がいっぱいいるんですね。周りに大型店はありますが、それでも人が来ています。ただ、聞いてみると、商店街の売上げがどんどん伸びているのかというと、そうでもないようで、ここがまた難しいところです。
 佐世保のお客さんはなぜ商店街に来ているのか。人がわいわいやってて何だか面白そうだから来ている、という面がかなりあるようですね。そのために、一年中、継続的に商店街が行政にほとんど頼らずにイベントをやっているわけです。それから、昔の中心商店街というのは、行くと誰かに会える場所だったと思うのですね。「だから、行く」。恐らく佐世保は、残念ながら売上げにつながってはいないけれども、それをまだ何とか維持しているのです。「行く理由」がある。それが非常に大事なポイントです。そこには、「次」への可能性が必ずあると思うのですね。

 今回の法律で大型店は規制されます。ただ、既存の大型店がなくなるわけではありません。現状が固定されるということですから、その意味では、今大型店に行っている人を呼び戻すためには、「来る理由」を作らなくてはいけません。差し当たりうまくいっている商店街は、何かその理由を作っている、持っているということではないでしょうか。


■商店街の自立性と主体性

【濱谷】佐世保では、特に商工会議所が主体的に動いたのかというと、そうではなく、むしろ商店街が独自で動いて商工会議所も行政も引きずられているという形ですよね。自ら動いている街は元気なのかなと思います。富山の場合は、今まで商店街が「自らどうするか」という主体性や自主性がどうも少し欠けていたのではないでしょうかね。

【黒田】率直に言いまして、富山の商業者も商店街もそれなりに実力はあると思います。
 私の立場から見ますと、富山の中心市街地の通行量も含めてこれだけ元気がないというのは、商業者の先見性、あるいは商店街の自立性がこれまでなかったということはもちろん認めますし、努力していない商業者も稀にはいます。
 しかしながら、大抵は地域のコミュニティや商店街活動を一生懸命にやったり、親の代からやってこられたものを一生懸命自分が後継者として引き継ぐのだと、朝は早くから掃除をして、夜は遅くまで店舗を開いて本当に頑張っています。もちろん自立と自己責任の精神はいちばん大事だと思います。今、まさに、自らビジョンを描いてこの街をどうするのか、自分たちの商店街をどうするのか、親の代からやってきた業種や業態を変えてでも生き残るのだという気持ちが試されるところに来ていると思うのです。そして今こそ、私達自身が商業者として本当に街のお役に立つために自分自身が勝ち残る、生き残るためにやるべきだと思うのです。

 従来、大型店と、中小小売店あるいは商店街とは対抗、対立の構図がありました。それが「中心市街地」対「郊外」という構図になるとすれば、中心部にも大型店が必要です。嬉しいことに、最近は日本ショッピングセンター協会を中心に、地域貢献が自らの社会的責任の一つの役割として認識されてきて、地域の中心市街地がもっと賑わうようお役に立とういう機運が出てきている。私達の追い風になると思います。
 ショッピングセンターを誘致し商店街の入り口に作り、西武百貨店の跡地や、中心部には新しい大和百貨店ができる。そして商店街がそれと共生する。私達自身がそれに立ち上がって行動すれば、行政や商工会議所が私達の姿勢にバックアップいただけることもある。これから富山の街は非常にインパクトのあるものに変わっていくと思っています。


■情報発信で街が変わっていく

【濱谷】ところが中心商店街の皆さんもそれなりに朝早くから起きて努力をしておられること、街を良くしようと思って一生懸命やっておられるということが市民の方々には見えてこないのです。情報化社会だからこそ、「そういう努力を私達はやっていますよ」ということを外へ向けて情報発信をしないことには伝わらない。例えば、朝早くからといっても、「10時頃に店を開けて、6時頃に閉めて真っ暗にして」というようなイメージなのです。「私達の商店街は若手が集まって、こういうことをやっている」ということをもっともっと情報発信して、理解を深める方法を何か考えていくことが必要です。

【黒田】その通りですね。そして、私達も行動をするには、ビジョンが必要です。特に行政からこういうビジョンで行くぞと言っていただければ、私達はそれを東京や全国に持っていって、「こういう構想なのでぜひ出店してください」と誘致活動するときの、非常に強い援護射撃になると思います。


■都心の6つの課題

【笠原】実は、中心市街地活性化基本計画は立てましたが、認定計画なものですから、それを見ても確実な事業ばかりが並んでいて、将来のビジョンが見えない部分もあります。そこで活性化計画に盛り込めなかったことも含め、どう再生させるか、どう展開するかなど市が考えていることを少し申し上げます。

 富山には沢山のいいところがあります。活性化策にはそのいいところを伸ばすというのもあるけれど、一度、徹底的に「ダメ出し」をして、だめなところは何か、ということをもう一度整理して、再生のシナリオを考えたことがあります。今の都心で、私達が考えている課題は全部で六つほどありました。
 一つは、都市全体も広く薄いけれど、都心も広く薄いこと。436haは広いので、そこをカバーする何か仕掛けが必要だということです。
 二つめは、商業集積が低いこと。40万人都市とは言えない、ひょっとしたら20万人都市くらいのイメージの専門店、大型店かもしれません。
 三つめは、人口が相当減少してしまっているので、何とかしなければならないということ。
 四つめは、路面電車が残っているものの、バスも含めて公共交通の不便感がすごく強く、分かりづらいいと。質感も、乗っていて豊かな気持ちになれる公共交通ではないということです。
 五つめは、県庁も市役所も都心に残ったのはよかったのですが、総合病院は郊外に出ていってしまった。特に痛いのは、文化施設が都心にないこと。しかし、病院を戻すことは無理だとしても、文化施設は今からでもカバーできる可能性があります。
 六つめは公共空間。駅北は未来地区で整備したし、南側も城趾大通りや松川べりはいいのですが、その他平和通りなどアーケードの古さといった公共空間の質感が十分でないところがあるのではないでしょうか。


■街再生のシナリオは?

【濱谷】これらの再生のシナリオはどう展開されていくのですか。

【笠原】具体的にどう展開していくのかということを市で考えたときに、プラス材料が幾つか見えました。
 一つは、地価が下げ止まったことです。地価が下がっている時に買う人は誰もいないので、下がらないことは再開発の絶対条件ですよね。
 二つめには、人口がやや増加に転じたことです。中心部の436haでは、昭和38年以来減少していたのが、何とかわずかではあるけれど増加に転じたというのがあります。
 三つめには、都市計画法も改正され、大型店の郊外出店を規制する特別用途地域の制定などで、都心の出店環境がものすごく変わっている雰囲気があります。出店してもいいという人が、結構出てきているということです。
 四つめには、「公共交通の活性化によるコンパクトな街づくり」の基本方針を、市民の皆さんがかなり理解されてきたということです。

 そして、8年後の新幹線開業が見えてきたことです。これらの前提条件を考慮してどう展開するか。今、市で考えている展開には三つのステップがあります。
 まず、一つめのステップが、今後1年間で何とかして都心の再開発の開業までこぎつけることです。グランドパーキングとグランドプラザと大和の入る再開発ビル。ミニマムかもしれないけれど、いちばんコアの部分を1年後には必ずきっちり完成させます。
 二つめのステップは、今後3年間で市内電車の環状線化をやります。そして総曲輪、中央通り、西町を含めた中心商店街が、これで活性化していけそうだという状況までを作り出すことがとても大事なのかなと思っています。
 三つめのステップは、10年後、新幹線開業後の話です。今の駅周辺に商業集積はあまりないですが、新幹線開業に合わせ、鉄道高架下にも一定程度の商業施設も入るだろうし、駅周辺にもかなり開発の余地があるので、一定規模の商業集積が出てくる可能性があります。
 ただ、10年後にそういうものを作るということには、ステップ2の今後3年間がすごく大事になってきます。中心商店街の再開発を幾つか併せて始動させるなど、これなら新幹線開業時までにはかなりよくなるだろうという状況までをつくり上げるつもりです。


■10年後の街が見えてくる

【笠原】シナリオだけでは、質的にどういう街なのかということはちょっと見えづらいかもしれませんが、市内電車の環状線化の話、また平和通りもシンボルロード化を進めますし、大手モールも電車を通すのに合わせて再生を図ります。そうすると都心が城址公園からL字型の構造になります。歴史文化ゾーンと言われる城趾から大手モールを通って平和通りに行き、そこから西町、中央通りまでL字型になるような都心の再生を今後3年間で進めることができればと思っています。

【濱谷】今言われたような形で、それがみんな出来上がったらこんないい街になりますよという夢やビジョンを打ち出していただくと、「よしそれに向かって私達ができることは何か」ということで動けるのではないでしょうか。商店街の人も自立して、「私達独自でこういうことをやっていこうじゃないか」という機運が生まれてくるのではないかと思います。


■市民一人ひとりが街をもっと楽しもう

【羽根】さっきからのお話を聞いていると、環状線の先に魅力的な何かができると、それらを結ぶことができて、近い将来、いろいろな公共交通を使って富山市内を楽しむという、コンベンションに面白い売りが一つできそうな感じがしますね。

【濱谷】観光・コンベンションの推進や中心市街地を活性化するために、何か見えてきそうですか。

【羽根】コンベンション誘致においては、悔しいことに富山は「行ったことがないから」ということが開催地に選ばれる決め手になることもありますが、最近地方都市では、規模的にも熊本や青森とともに新幹線絡みで人気があります。
 もちろん今、富山はライトレールが全国で非常に話題になっていることも要因です。ライトレールの開業、市内電車の環状化、新幹線の開業と街の話題になるものが続けば、それがコンベンションを引っ張る大きな力になります。
 昔、国際会議場が出来たての頃は、フリーク・ポケットの評判が非常に良かったこともありました。例えば学会や会議の合間の空き時間、2時間とか半日というニーズが結構あって、そんな時には私達はぜひ商店街に送り込みたいと思うのですが、街の中に送り出す話題、「これはぜひ見てきてください」というようなものが今はちょっと見えなくて、どうしても水墨美術館とか、そういうところになりますよね。
 それから、夜の飲食に関しては本当に評判がいいのですが、もう一つ何かざわざわしたというか、「やわしい」って富山弁ですか?標準語では…がちゃがちゃしたという感じでしょうか。パーティの後に繰り出したくなる「やわしい」ところ。例えば、今度できる「賑わい横丁」みたいのや、その周辺の飲み屋街とかというような、夜の街の「ざわつき」みたいなものですね。私は富山に足りないのは、ある種の「やわしさ」だと思っているのですけれども(笑)。

【濱谷】「やわしさ」というか、「ざわめき」の無さは、結局、コンベンションで来られた方が「行ってよかったから、もう1回行こうよ」と、リビジットしてくれる人たちがなぜ少ないかに繋がります。それは、富山市民自身がそういう「ざわつき」で楽しんでいないところがあるのかなと思います。
 観光客を呼ぶことは大事だけれども、それよりも大事なことは、富山の人自身がもっと楽しむということがなかったら、これは飽きられてしまうということだろうと思います。ですから、富山の人たちがもっと楽しむためのいろいろなプロジェクトをもっと仕掛けて、「おれたちも楽しもうじゃないか」と。それで大いに楽しんで、「何か面白いことをやっているから、行こうじゃないか」と思わせる必要がある。だから今度できる「賑わい横丁」も、富山の人がみんなぞろぞろ集まってきて、わあわあと騒いでいないと何の意味もない。これは、中心商店街でも同じことです。


■官と民の二人三脚で

【濱谷】ですから、今、価値創造プロジェクトが第2ステージに移るわけですが、最も重視したいのは、私達がどんなプロジェクトをやって何をやっているかということについて、(そのパフォーマンスがどうかという議論は後回しでいいので)こういうことをやっているということをどう県民、市民にPRしていくか。そして「こういうことをやるから、皆さんも一緒にやりませんか」というところをどうアピールするかなのです。それをより効果的にやるために、富山市の中心市街地活性化基本計画で出されているものとの整合性を持たせて進めたいと考えているわけです。

【笠原】これまでも商工会議所でも商店街の方々もさまざまな取り組みをなさっておられて、率直な感想とすれば、ものすごく努力されて、そのことは大変素晴らしいし、これからも継続してほしいと思っているというのは確かなことです。
 先ほどからも言っている通り、中心市街地の活性化は、都心地区全体の活性化をやらないとだめだろうというのがあります。しかし、それ以前に、富山市全体がこれだけ広く薄い市街地であるという宿命的なところがあるので、どうしても都市全体を作り変えていかないと、都心も活性化しないし商店街も活性化しないのです。
 例えばライトレールを整備すると、ライトレールの沿線が便利になっていくということですが、そこの沿線の人口が増えるだろうし、都心へ乗り入れができれば沿線の人たちが都心に来てくれるようになります。要するに、公共交通を中心に都市全体がもう少しコンパクトになるように根本的なところからやらないと活性化できないんです。
 商工会議所を中心として価値プロのような取り組みをしていただくことと、行政が街全体を考えて公共交通機関を整備したり、街なか住宅の助成をしたりということが二人三脚できて初めて活性化が進むのではないかと思っています。

【濱谷】全くその通りだと思います。今までは、ある意味、過剰依存、過剰介入的なところもあったのかもしれませんが、本来は、そういう役割分担をきちんとしてやっていかないといけないですね。

【笠原】逆に、行政だけで街づくり全体のことをやっても、一方でちょうど価値創造プロジェクトのような取り組みをしていただかないと活性化はしないのです。ですから、本当に二人三脚でやっていくことが大切なのではないかと思います。


■いかに市民に参画してもらうか

【藤田】今のお話には全く同感です。行政がやるべきところをきちんと描かれると、「じゃあ、ここでこんなことをやったら面白そうだな」とか、そういう絵が民間によって描かれていきます。その基盤を作るのは行政の役割なのだと思います。
 そういう中で、みんなの想像力が喚起されるわけです。ここに電車が通って、ここがきれいになったら、ここにこれを作ったら面白かろうとか、楽しかろうとか、あるいはそういう街になったら行ってみたいと思うかもしれません。それが「来る理由」になるし、そうやっていろいろな人を巻き込んで参画していくというのは非常に理想的な姿だと思います。

【濱谷】この価値創造プロジェクトの、一つひとつの事業をやるたびに、いろいろな人をかなり巻き込んでいるわけです。いろいろな業界の人、学生も含めていろいろな人を巻き込みながら、これを進めてきているわけです。「グループエキキターゼ」は特にそうだろうと思います。いろいろな人をどう巻き込むかということは一つ大きなポイントです。PRをしながら巻き込む。是非やりたいと思っています。

【羽根】「グループエキキターゼ」は駅北に勤務する女性たちが中心になってボランティアで活動していますが、自らアイディアを出し合い、イベント「駅北ムーブ」を春と秋に、3年間やらせていただきました。私達の活動によって、他の人たちにもあの場所がイベント等で使え、楽しめるということを知ってもらうきっかけになれば、恒常的にもっとにぎわっていくのではないかと頑張っています。でも、ボランティアですから継続するのはとても大変なのですが、そんな中でも、嬉しい兆しがみられます。春の「駅北ムーブ」で恒例の「フラワーロード」を作るためには、チューリップの花首を摘まなければいけません。これに相当数のボランティアの人達の力が必要なんですが、これを近所のおじさん、おばさんが最近は待っていたように喜んで参加して下さっているということです。「あんたたちは素敵なことをやっているね。私達も、手伝うよ」という外からの動きが、自らの活動を継続していく、大きな力になってくるかもしれないと思っています。


■街の情報を共有しよう

【濱谷】私達が価値プロをやっていく中でも、時々そういうことがあるのです。例えば、「今度、ぶり街道祭りをやるんだそうですね。私達に何かできることはありませんか」と言ってくれる人も結構増えてきています。そういうものに参加したいという気持ちをみんな持っておられるわけですから、そういうチャンスをどうやって提供していくのかということが大事です。
 それから、先ほどの「ぶり街道祭り」が12月10日にあるという話が、コンベンションや関係機関の間で情報が共有されているかということです。情報が共有されていないために、あるところでたくさん人を集めてイベントをしているのに、同じ日の同じ時間に別の場所でどこかの他の団体が何かを売ったりするということが起きているのが現状ではないでしょうか。
 そういったコンベンション誘致の決め手にもなる情報を、できるだけ多くの人に共有される方法を考えていくと、また参加者が増えると思います。

【羽根】そうですね。コンベンションの日程を決められるときに、例えば「大手モールで越中大手市場≠やっているときですか」と聞かれることが多いんです。その日であれば、お見えになったお客様もそこで楽しむことができますから、1つのポイントになるわけですよね。


■落ち着きも「わが街」の良さ

【羽根】全国から沢山の人達がお見えになって、例えば、春や秋のとてもいい天気の日に、大手モールでは市場が開かれていて、この通りに面した国際会議場のオープンカフェで一杯飲んでいる人の姿を見ると、街を楽しむというのはこういう雰囲気なんだろうなというのを感じますし、新しい富山の姿かなと思っています。
 よく富山はとても落ち着いた街だと県外の方から言われますし、そういう意味では、先ほどの「やわしさ」がないと言ったことと相対することになりますが、その落ち着きが、コンベンションをするのにとてもいいイメージになるのだと思います。
 それから、私よりもう少し上の、団塊の世代では、郊外に住んでいるけど、もう街に戻ろうとしている人が大変多いんです。街なかが、おじいさん、おばあさんばかりになったら困るのですが(笑)、先ほど言ったように環境がいいというイメージを、今、富山は持っているわけですから、私達自身も街の中に住んでいても郊外と変わらない、いい環境のイメージを街なかに持てたら、なおさらいいと感じますね。

【濱谷】これも情報発信が必要ですね。街なかに住んでいる人は、「街なかに住んでいたらすごくいいよ。郊外のそんな外れたところに住んでいてつまらんでしょう、真ん中においでよ。こんないいことがあるよ」ということを街なかの人はもっとPRしていただきたいですね。



 皆さんの話を総合すると、これから新幹線が来るまでの間に、みんなで努力していい街ができ上がってくるのではないかなという希望と、それだけの自信が持てたのではないかと思います。
 当所は、わが街富山の飛躍に向けて行政や商店街など各方面と協力・連携しながら富山市価値創造プロジェクトを推進し、第2ステージに取り組んでまいりたいと思います。

 富山市は、平成18年12月20日(水)、中心市街地活性化基本計画を国に申請しており第一号認定が待たれます。


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