「商工とやま」平成19年5月号
特別寄稿「人・まち・自然が調和する活力都市とやま」
〜個性と創造性に満ちた活力あふれるまち〜
平成19年度/富山市商工労働部関係施策

 本市では、人口減少と超高齢化に備え、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちづくりの実現を目指しております。特に、本市のまちの「顔」である中心市街地に富山ならではの魅力と活力のある都市機能を集積させることは、市全体への活力として波及していくものと考えております。

 このため、「公共交通の利便性の向上」、「賑わい拠点の創出」、「まちなか居住の推進」を柱とする、新たな「富山市中心市街地活性化基本計画」を策定し、国から第1号認定を受けたところであり、今後はこの計画に盛り込んだ事業を着実に推進し、市民、商業者、行政が一体となったまちづくりに取り組んでまいりたいと考えております。

 平成19年度は、本市の新しい総合計画がスタートします。予算編成においては、厳しい財政状況の中にあっても、将来の財政の健全性を堅持しつつ、総合計画に位置付けた施策を着実に推進することを基本方針としました。この予算をもとに、県都として、また日本海側有数の中核都市として、未来に向かって大きく発展し、市民一人ひとりが将来に希望が持てるよう取り組んでまいります。



■企業誘致の推進と新産業の育成

●本市の経済活力維持・発展には企業誘致が大変重要であり、特に最近の企業の積極的な設備投資意欲や進出動向から、富山市土地開発公社が造成しております呉羽南部企業団地(第一期)の整備を促進してまいります。そして、オーダーメイド方式による用地整備やリース制度による用地供給など、企業の多様なニーズに応えながら、本市の優れた立地環境や新たに創設した「先端産業企業立地助成制度」などのPRを行い、製造業や物流関連企業、先端技術産業等の集積を図っていくとともに、既存の西本郷企業団地や富山八尾中核工業団地においても引き続き企業誘致に努めてまいります。

●本年4月より富山大学工学部敷地内に「ハイテク都市基本構想」の中核となる富山市新産業支援センターを開設し、産学官連携のもと、医薬バイオ・ナノテク・IT・環境など新しい成長産業分野における研究開発型ベンチャーの育成に取り組むとともに、県や関係機関との連携により、バイオテクノロジー関連のセミナーや研究会を開催し、バイオ産業の育成を図ってまいります。

●工業都市としての産業基盤をさらに発展させ、地域経済の活性化と雇用機会の確保を図るため、本市の産業動向や地域資源、支援施策へのニーズなどを調査・分析し、地域特性も考慮しながら、今後の工業振興施策の指針となる「工業振興ビジョン」を平成20年度までに策定してまいります。


■金融、経営指導による中小企業の支援・育成

●中小企業の振興には、金融、経営指導の両面にわたる対策が必要となっていることから、まず、金融面においては、中小企業者の事業経営の安定と資金調達の円滑化を図るため、十分な融資枠を確保するとともに、借り換え制度として緊急経営基盤安定資金を継続し、中小企業者の資金需要に応えてまいります。なお、本年度は「新産業育成支援資金」、「経営安定資金(災害枠)」を新たに設けるとともに、既存の設備関係資金を「設備投資支援資金」に整理統合し、融資限度額や期間を拡充することにより、さらなる制度の利用促進を図ってまいります。

●中小企業者の経営相談に対応するため、引き続き経営相談員を配置するとともに、「とやま企業経営未来塾」を開催し経営者の能力の向上を図ってまいります。


■商店街の振興による商業・サービス業の活性化

●「富山市商業振興ビジョン」に基づき、商店街が行う地域の特性に応じた魅力的な商店街づくりに対する取り組みを、引き続き支援してまいります。
 また、県と連携して、まちの賑わい拠点の創出や、がんばる商店街に対して支援をしてまいります。


■薬業の振興

●薬業の振興では、「富山くすりフェア」を、9月のおわら風の盆に併せて開催し、県内外の観光客に配置薬と「くすりのまち富山」のPRを図ってまいります。
 また、昨年度作成した薬や薬膳料理の店など、健康と癒しの観光資源を紹介した「くすりの富山」ガイドブックの内容を、市のホームページに掲載し、全国に「薬都・富山」を発信してまいります。
 さらに、現在、市内にあるくすりに関連する施設について、機能や展示内容の調査を実施し、薬業関係者や博物館関係者などを交えて「くすり関連施設」について検討してまいります。


■地域ブランドの振興

●本市には、全国的に有名な「くすり」や「ます寿し」などの確立された富山ブランドがありますが、さらに、地場産品の新たなブランド化を推進するために、生産者等を対象とした講習会を開催してまいります。
 また、本市の特産品のPR及び販路拡大のため、東京・名古屋で物産・工芸展を開催し、富山ブランドの推進と地域産業の振興を図ってまいります。


■デザイン・工芸の振興

●デザインの振興では、デザイン活動の拠点である「デザインサロン富山」を支援するとともに、「富山デザインフェア」やポスター塔などを利用した企画展を開催し、商業デザイン活動の推進や市民への普及を図ってまいります。

●工芸の振興では、ガラス工芸を富山の地場産業としてより発展させるため、富山ガラス工房を発信基地として、ガラス文化の普及と優れた人材の育成に取り組むとともに、ガラス作家の定住を促進するための施策について調査を行ってまいります。
 また、本市の貴重な伝統工芸である木象嵌技術伝授への支援、並びに国指定の伝統的工芸品である越中和紙の伝承を支援し、後継者の育成や販路の拡大を図ってまいります。


■通年・滞在・周遊型観光の振興

●観光の振興では、今後10年間のあるべき観光の姿を展望し、数値目標を盛り込んだ行動計画として「富山市観光実践プラン」を策定してまいります。
 また、北陸新幹線建設工事に伴って建設されるJR富山駅仮南駅舎内に、富山市観光案内所と観光協会事務所を併せて整備いたします。

●外国人観光客を誘致するため、飛越国際観光都市連合を構成する南砺市、飛騨市と連携し、ソウルにおいて伝統芸能公演を開催するとともに、4ヶ国語対応の観光PR映像を制作するほか、外国人スキー客の宿泊費を助成してまいります。
 また、外国語併記の案内板を設置するとともに、外国語版のポケットマップを作成いたします。

●立山山麓スキー場については、リフトの架け替えなどでスキー場としての魅力を高めるとともに、グリーンシーズンに向けて、トレッキングコースの整備などを行ってまいります。
●平成19年度末に予定されている東海北陸自動車道の全線開通に向け、中京圏において観光物産展に参加するとともに、旅行エージェントにPRを行い、観光客の誘致に努めてまいります。
●国際会議観光都市として各種コンベンションの誘致や開催に対する支援を積極的に行うほか、国内外からの観光客に対応した観光ボランティアの育成や、おもてなしの心を醸成する研修に対して支援を行うなど、受け入れ態勢の充実に努めてまいります。


■創業の支援と雇用の創出

●創業支援では、高度なものづくりやIT・デザイン関連の都市型産業の起業家を育成するため、「ハイテク・ミニ企業団地」や「とやまインキュベータ・オフィス」などの入居企業や、都心地区において新たに事務所を開設するIT関連の創業者等を引き続き支援してまいります。
 また、ベンチャー企業の新商品出展にも助成してまいります。

●雇用の創出では、大きな雇用効果が期待できる情報通信関連企業の誘致に努め、一層の雇用の拡大を図ってまいります。

●依然として厳しい雇用状況にある高齢者・障害者については、引き続き、障害者・高年齢者雇用奨励金の交付や高年齢者職業相談室での求人・求職情報の提供、養護学校等が行う「就業体験」の受入れ事業所の開拓、障害者雇用優良事業所表彰等を実施し、雇用の促進と安定に努めてまいります。

●「ニート」と呼ばれる若者への支援策としては、就労に不安を抱える子どもやその保護者を対象として、就労意識の醸成を促すセミナーを開催するほか、社会人として必要な基本的能力を身につけるために、NPO法人等が実施する若者自立支援プログラムへの支援を行い、若者の社会参加の促進に努めてまいります。

●景気の回復や団塊の世代の大量退職を背景に中小企業においては人材や労働力不足への対応が必要となっている中で、県内外の大学生をはじめとした若者に市内の優良企業の会社見学会等を実施し、市内での就業を促進し人材確保に繋げてまいります。

●次代を担う若者のものづくりに対する意識を高め、優秀な人材の地元への定着を促進するため、富山商工会議所が実施する「ものづくり人材育成」の取組みに対して支援してまいります。

●勤労者の福祉の向上や生活の安定を図るため、子育ての相互援助活動を実施するファミリー・サポート・センター事業の市域全域への拡充の推進、勤労者小口資金融資制度の継続や富山市勤労者福祉サービスセンターの運営について支援してまいります。



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