前回は、プレゼンテーションをより有効なものとするため、心理効果の活用について解説しました。今回は、本番でプレゼンテーションを成功させるための事前準備と、実践に向けたヒントをお伝えします。
◇本番に向けて備えあれば憂いなし 当日に望む準備が重要
プレゼンテーションを成功させるために、先ず、プレゼンターには定番の決めゼリフがあることを覚えておかれると良いでしょう。例えば、
「ここが大事」
「ポイントは○つ」
「メモしてください」
いずれも、聞いている人を自分のペースに引き込むため、更に自分自身のペースを落ち着かせるための効果として、とても重要なセリフです。
次に、本番前に行うこととしては、
・リハーサルを行い、自信を深める
・使用する機材の動作確認をする
・想定される質問の準備をする
などがあります。また、独自のチェックリスト(図1)を用意しておくと、本番の緊張した状況でも、頭の中がしっかり整理できるでしょう。
このように、しっかり準備をしておくことが、本番を迎えるにあたって大切になります。
◇当日はトラブルが付き物 心の余裕が成功につながる
プレゼンテーションを経験された方の多くが実感されていると思いますが、事前の準備が万全に出来たとしても、トラブルというものは付き物です。

よくあるのは、
「バージョンが違った」
「書体がない」
「プロジェクターのランプが切れた」
「パソコンが急にダウンした」
など、本当に予期せぬいろいろなことが起こります。重要なことはトラブルが起こってしまうことではなく、プレゼンテーションにはトラブルが起きるものだと思っておく心の準備が必要だということです(図2)。
例えば、パソコンでパワーポイントを使う場合、通常、聞き手側はスクリーンを見るので、手元に資料がなくても支障はありません。ところが、パソコンやプロジェクターが急に使えなくなった時には、資料を用意しておくことで、大半は代替できます。
もちろんトラブルが無いに越したことはありません。しかし、事前準備を入念にしておくことで、心に余裕を持って、プレゼンテーションに集中することができるのです。
◇感動のプレゼンターを目指して
これまで4回にわたってプレゼンテーションについて考えてきました。
伝えたい企画がどんなに素晴らしいものであっても、それだけで成功を収めることはできません。企画書にまとめ、プレゼンテーションで関係者に伝えて支持を取り付けることができなければ、その企画はお蔵入りになり、それまでの苦労は水の泡になってしまいます。
もう一度プレゼンテーションの目的を確認してみましょう。プレゼンテーションは自分の考えを相手に伝えることで、興味→共感→採用→行動→実践→成果につなげる。すなわち、これは自分の思いを相手に伝えるための設計図を作ることなのです。そして、作った設計図通りに進んで初めて成果に結び付くのです。つまり企画の成否は、プレゼンテーションという名の設計図の精度にあるとも言えます。
今日、ビジネスにおいてプレゼンテーションは日常的に行なわれています。みなさんも会議や商談で1つでも多くの企画や提案が通るよう、相手に興味を持ってもらい、共感し、感動されるプレゼンターを目指して、プレゼンテーションの技術を磨いていただきたいと思います。
当原稿の執筆は、中小企業応援センター事業の専門家/石橋孝史氏((株)ヒューマンサポート取締役)にご協力をいただいております。