会報「商工とやま」平成26年6月号

特集1 
 平成25年度富山市ヤングカンパニー大賞 大賞受賞企業紹介
 ものづくりの基盤を支える、溶接機レンタルに特化して
   株式会社ダンジョウ


 富山市と富山商工会議所が主催し、創業まもない、革新性と独自性の高い優れた企業を表彰する富山市ヤングカンパニー大賞。今回は、平成25年度の大賞に選ばれた株式会社ダンジョウ代表取締役社長の竹林洋和さんに、同社のサービスの特長や今後への思いについて伺いました。

溶接機に特化したレンタルと販売


 株式会社ダンジョウは、平成22年に富山市婦中町で合同会社ダンジョウとして創業。溶接機を中心にした産業用機械や機械工具のレンタルと販売を手掛けています。

 平成24年には組織変更し、株式会社ダンジョウとなりました。それと同時に、婦中町から現在の富山市西二俣へ事務所・工場を移転し順調に業績を伸ばしています。

 社長の竹林洋和さんと専務取締役の日合淳さん、取締役の野真宜さんは、以前勤務していた会社の同僚でした。

 「3人で独立を決めたときは、経営について何も知らない状態でしたが、前職での経験もありましたし、若い私たちならではのフットワークの良さや、大手企業にはない隙間のサービスを目指していこうと決めスタートしました」

 同社では特に、多くのノウハウが必要な溶接機のレンタルと販売に特化した事業を展開しています。

 「溶接機は周辺機器や附属部品がとても多く、機械自体も壊れやすいため大手ではなかなか取り扱いにくい商品です。当然、修理やメンテナンスが必要となりますが、私と日合は前職で溶接機レンタルと販売の営業経験があり、野は工場で機械整備全般を担当していました。

 私たちがそれまで現場で培った経験をもとに、起業後もそれぞれの能力を活かして、役割分担しながら経営に当たっていけるのが、現在の当社の強みとなっています」


産業のあらゆる基盤を支える


 溶接機の需要があるのは、鉄鋼プラント工事、大型ビル・造船の建設、火力発電所や原子力発発電所などの配管、橋梁建設、下水処理施設、貯水タンクなど製缶の現場があげられ、実に様々なものづくりを支える重要な機械です。また、LNG(液化天然ガス)プラント工事でも、今後の需要増が見込まれているそうです。

 そのほか、同社のレンタル溶接機は、東日本大震災で被災した、宮城県石巻市の日本製紙石巻工場の復旧工事でも使用されました。また、岡山県の水島コンビナートなどでも実績を上げています。溶接機は、社会や産業の基盤を形作るための、あらゆる建設・工事現場で使用されているのです。

 「よりよい溶接機をご提供して、多くのお客様のものづくりの現場で貢献できることが、私たちの喜びであり、誇りですね」


最新の信頼できる機器を


 不況のなか、少しでもコストダウンを計ろうと、多くの企業が経営努力に取り組むなかで、溶接機を買うよりは、レンタルでと考える企業も増えていると言います。

 なぜなら、溶接機と言っても、鉄、アルミ、ステンレスなど、溶接する素材によって機械自体も替える必要があるためです。1台約40万円前後という溶接機。それぞれの現場に応じて必要な台数を揃えるとなると、購入・修理費用がかなりかかることになります。

 「ここ10年ほどで、溶接機もレンタルでと考える企業はかなり増えてきましたね。また、溶接機は5年に1度は台替りしますが、当社ではどんどん新しい機械を導入して、お客様に貸し出しています。やはり最新の、よりよい機械をご利用いただき、皆様に喜んでいただきたいからです。

 そのため、当社で取り扱う製品のほとんどはパナソニックやダイヘンと言った、日本のトップメーカーのものです。信頼性・耐久性の高い機器を取り揃え、加えてプロによる確かなメンテナンスで、ご要望に確実にお応えしています」


スペシャリストがメンテナンス


 機械のメンテナンスや修理においても、同社規定のチェックリストに従い、外面・内面ともつねに万全の状態に整えています。

 出庫の際は、機械と一緒にお届けするトーチやケーブル類をすべて接続させ、アークテストも行っているそうです。顧客の手元に届いてすぐに使用できる状態で出荷されるため、現場では安心して安全に使用することができます。

 「これまで私たちが実際に現場に出向き、お客様が何に困って、何を必要とされているのかを見てきた様々な経験から、当社スタッフは『生きた知識』でお客様に対応することができます。

 何より現場でのご要望を大切に、お客様のニーズに迅速に柔軟に、そして的確にお応えすることを大切にしているんです」

 また、同社ではレンタルのほかに中古溶接機も販売しています。


今後は、全国に顧客を


 そんな中、3人の経営陣や社員の皆さんの情熱が着実に実を結び、業績を順調に伸ばしています。

 「当社では現在、溶接機のレンタル・販売・メンテナンスを主力として、県内外で約300社とお取り引きさせていただいています。

 現在は富山を中心に、新潟、愛知、和歌山、岡山など、西日本を中心にご注文をいただいていますが、今後は、東日本方面も含め、全国に向けてさらに広く、当社ならではのサービスをお届けしていきたいですね。その第一歩として、まずは県内の営業拠点を増やしていきたいと考えています」


インターネットで注文受付


 同社では、インターネットでの見積り・注文システムを開発し、今年3月から運用を始めています。このインターネットシステムの開発と活用は、富山県から経営革新計画の承認を受けて着手したものです。

 ネットで直接取引できるシステムは、産業用機械器具のレンタル業界では初の試みだそうです。顧客が貸出し可能な機器の在庫状況を、いつでも確認することができ、とても便利なシステムとなっています。

 「もちろんお電話でも、発注やお見積り依頼を承っていますが、電話だけですと、多種多様な用途に応じた機械がありますので、言葉のニュアンスの受け取り方の違いで、若干のズレが生じる場合があります。

 その点、インターネットでは、商品をそのまま目でご確認いただき、これが欲しいというものをご自身で選んでいただけますので、より正確になり、溶接機もタイムリー且つ迅速にお届けすることが可能です」

 この不景気の中、日本のものづくりは短納期・低価格が当たり前となっています。ネットであれば、顧客にとっては営業時間を問わず、機械の確認や工事用の見積りが可能となります。

 必要な時に必要なものを確実に提供する、それがものづくりを陰で支えている同社ならではのサービスです。


より高度な知識と迅速な対応でレンタルを強化したい


 「今後は、ターゲットとなる顧客を絞ることにより、より高度で専門的な知識を迅速に提供していく方針です。また、売上の割合として、現在はレンタルが半分ほどを占めていますが、将来はさらにこの割合が伸びるのではないかと推測しています。

 お陰さまで、ホームページの効果や従来のお客様からのご紹介などで、新規顧客も増えています。

 また、事業拡大のためには、これからは富山県民の特長である粘り強さがある人材を育成・確保していきたいですね。また、フットワークをより軽くして、全国に顧客を増やしていけたらと考えています」

 創造と革新を目指し、現場第一主義、お客様第一主義で経営にあたる株式会社ダンジョウ。

 「日本のものづくりをつなげる」を企業理念として、現場の声、お客様のコミュニケーションを大切に、顧客の期待以上の付加価値を提案・実践していこうと努力を続けています。

 「まだまだ小さな会社ですが、北陸3県では、どこにも負けないような会社にしていきたい」と語る竹林社長。

 他社にはないニッチなサービスをさらに追求し、富山県から全国展開につなげる可能性を探っています。

 2020年には東京オリンピックも開催されるなど、関東方面での展開の夢も広がります。そして、戦国武将の名前から名付けたという社名のもと、平均年齢35歳の若き経営者たちは、足元をしっかり見つめ、次の一歩に向かって、歩き始めています。


株式会社 ダンジョウ
富山市西二俣87-2
TEL:076-471-5323  FAX:076-471-5324
●本社   ●溶材市場


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