会報「商工とやま」平成27年1月号

特集1 県内企業人材養成モデル推進事業 事例紹介F
ともにチームとして、ものづくりの未来へ

産業機械、工作機械・機器の専門商社としてものづくりを支える
 山崎機工株式会社


 富山商工会議所は、富山県が実施する「県内企業人材養成モデル推進事業」を受託しており、新規学卒者と中小企業のマッチングとサポートを行ってきました。

 「県内企業人材養成モデル開発事業」を受託した企業では、新規学卒未内定者等を1年間雇用し、人材養成計画のもと、実務や訓練等が行われます。平成22年度以来、これまでに87社で128名が採用されました。本誌では、この事業を活用して人材養成を実践した企業をご紹介しています。

 今回は、平成24年度に当事業を活用した山崎機工株式会社代表取締役社長の山崎均さんと、当事業によって育成・採用された本社営業部二課の山田卓人さんにお話を伺いました。


富山・石川のものづくりを支える


 山崎機工株式会社は無人化・省力化システムをはじめとする産業機械、工作機械周辺機器類、そのほか、物流システム用品などを取り扱う専門商社です。富山県内と石川県内合わせて4カ所の拠点を設け、日夜進化する、多様なものづくりの現場を支えています。

 現在では株式会社不二越をはじめ、自動車・電機・電子・非鉄金属製造業などの幅広い分野で、約400社の得意先を獲得。また、自己資本比率も高く、実績、資本力、そして人材においても、業界で厚い信頼を獲得しています。


創業以来、倹約を旨として


 山崎機工の歴史は、初代社長の故山崎碌郎さんが第二次大戦の激戦地から生還し、昭和23年に山崎商会を個人創業したことに始まります。

 「戦後の復興期に多くの方がそうだったように、父も最初はリヤカーを引いて工具を売り歩いたと聞いています。毎週、夜行列車に乗って大阪の問屋へ行き、工具を仕入れていたようです」と語るのは、二代目の山崎均代表取締役社長。当時から株式会社不二越などとの取り引きがあり、その歴史が今日へと受け継がれています。

 昭和34年には山崎機工株式会社へと法人化。高度経済成長期の日本の産業の発展とともに、富山市内に加えて、高岡、入善、金沢にも営業所を設け、順調に業務を拡大していきました。そして、昭和63年には現社長の山崎均さんが代表取締役に就任。平成2年には針原中町の現在の所在地に、本社を移転新築しています。

 もののない時代に、先代社長がゼロから築き上げた歴史から、同社ではつねに倹約を旨としてきました。無駄を省き、地道にこつこつと蓄積してきた資本が、今日の信頼の大きな礎となっています。

 また、平成21年には環境認証「エコアクション21」を取得するなど、省エネやリサイクルなど環境問題にも積極的に取り組んでいます。


商社は人が財産


 山崎機工で取り扱うのは、工作機械、産業用ロボットなどの自動化・省力化設備にはじまり、加工用の切削工具・機器、精密測定機器、物流搬送装置、環境機器、空油圧機器、モーターなどの機械要素部品など、実に多岐にわたる商品です。それぞれ国内の一流メーカーと代理店契約を結び、北陸一円のさまざまな業種の顧客に販売しています。

 そのため、営業マンには幅広い知識が要求されます。商品知識に加えて技術革新などの最新情報や、それぞれの顧客のニーズを的確に把握し、いかに顧客の立場に立って一歩先の提案ができるのか。それが顧客にとっても、山崎機工にとっても成長の鍵になると山崎社長は語ります。

 「商社ではやはり、人が財産です。そのため、当社ではどんな環境下でも安定的に新卒の社員を採用していくことが大切だと考えています」


ものづくりチームの一員として


 今回採用された山田卓人さんの営業としてのキャリアは、まだ始まったばかり。ものづくりを支援する商社マンのあり方について、山崎社長は次のように思いを語ります。

 「ものづくりの現場では、お客さまと私たちは一つのチームとなります。生産性を上げ、製品の付加価値を上げて競争力をつけるためには、ともに努力をしながら、企業と社会の発展を目指すのが、ものづくりの世界なのだと思います。

 ものづくりの現場では私たち商社の仕事は裏方として地味な面がありますが、一方お客さまから評価をいただいた場合、素直にありがとうと言っていただける、とてもフェアな現場です。それがやがて、次の注文へとつながっていくというように評価が即実績に現われるやりがいのある仕事なのです。

 チームの一員となるためには、何よりまず、お客さまに信頼されるパートナーとして認めていただけることが大事。疑問に思ったことは必ずお客さまに確認し、一つひとつの仕事を確実に、そしてお客さまに指摘される前に、自ら考え出来ることを一所懸命に行う。そして若い間は、素直で明るく、元気であることが一番」と、山田さんに熱いエールを送ります。


学びながらニーズに応える


 山田さんは、当初の半年間は先輩との同行でOJTによる研修を積み重ねました。そのなかには、メーカー主催の商品勉強会も定期的に盛り込まれています。

 また、OFF・JTとして、こちらでも各メーカーの研修に加えて、通信教育なども受講。ビジネスマンとして必要な基礎的スキルや知識を身につけていきました。

 その後、単独での営業活動へ。しかし、ドリルなどの工具ひとつにしても、顧客ごとに異なる材質や条件など、さまざまな商品知識を身につけることは大変なことだと言います。

 「先輩にフォローしてもらいながらいろいろと調べたり、お客さまにも教えていただきながら、ご注文に迅速に正確に対応するよう心がけています」と語る山田さん。日々のお客さまとの対話を通して、多様な知識を身につけながら、手応えを感じているそうです。

 「お客さまからご相談いただいて納品した商品が、役に立ったよ、ありがとうと言われたときが一番うれしい」と語り、一歩ずつ成長を続けています。


今後は提案型の営業マンへ


 今後は、顧客の要望に真面目にきちんと対応することはもちろん、知恵と工夫をプラスαした営業力がなければ生き残りは難しくなってくるとも話す山崎社長。

 「プラスαとは提案力であり、何よりもお客さまのことをよく知ることが肝要。山田君も、これからは提案型の営業へと成長していく時期ですね。また、その企業の命運をかけるような設備を発注していただくとなれば、確かな対応力を備え、信頼される人材であることが重要です。さまざまな情報を自分の情報として消化し、つねに課題を見つけ、それを解決に導く新しい提案ができる営業マンに育ってほしいと考えています」と期待を込めます。


良き人材が企業の未来をつくる


 国際化、情報化が進むいま、日本のものづくりが挑む国際市場は、より厳しさを増しています。そんな中で、いかに高付加価値で高品質な製品を、世界に向けて提供し続けることができるのか。また、グローバルな競争力を維持するためには、常に新技術への取り組みと不断の改善活動が求められていると言います。

 同社は、ものづくりをサポートする専門商社として、製造現場から発信されるさまざまな課題について、これからも顧客と一体となり解決。そして、FA化のためのノウハウ、機器、情報の提供を通して、顧客の問題解決に力を注ぎます。

 「人とのつながりを大切にするのが商社の基本。いかにお客さまの信頼を得る人間になるか。そして、お客様のご要望と課題により近づいていくのかが重要。また、何かトラブルがあったときは決して逃げないこと。それが商社マンとしての大切な心構え」と山崎社長は力を込めます。

 よき人材を育て、顧客との確かなパートナーシップのもと、ともに発展を目指すことが山崎機工の使命です。北陸のものづくりを支える専門商社として、確かな信頼を力に、今後もさらに努力していきます。


●山崎機工株式会社
富山市針原中町503
TEL:076−451−8001
http://www.yamazaki-kiko.com/


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