2021年 その他

審査員賞(小林和人賞)

石器ナイフ

花石産メノウ、栗材、皮ひも

①石赤:18×4×2.5㎝、②黄色:24×4.5×1.6㎝、③白:23.5×3.5×2.5㎝

¥43,000

久保田 新一

クボタ シンイチ

北海道伊達市

1947年
福島県生まれ
2017年
作家活動を開始

作品について

自然の石肌、打設による剥離面、切削研磨による模様色彩これらの組み合わせによる石器。

講評

「クラフトとは何か」ということを問い直す出品作が目立った今回の選考会の中でも特に評価が分かれた作品の一つでした。道具としての実用性を疑問視する声もあった中、私は高岡クラフトコンペにおいては必ずしも機能性だけではなく、抽象性ともいえる「物が孕む余白」に目を向けた評価もあって然るべきではないかと考え、この護符のような存在に一票を投じました。刃は北海道瀬棚郡今金町花石で採れる瑪瑙の原石から加工。栗材のへぎ目や瑪瑙の剥離面からは荒々しい印象を受けつつも、刃と柄の峰のラインの繋がりと手に取った際のバランスに細やかな配慮が感じられます。刃と柄の合わせは、栗材を割って石の根元を挟む方法と、彫り込んだ穴に差し込む方法の2通り。接合部の固着には弾性に富む変性シリコンを使用との事ですが、個人的には多少不便でも松脂や鹿の腱を用いるなど、古代の技術で通して欲しいという気もします。なぜなら、無意識に響く作品の魅力というのは、もしかしたらそのような「手間」の積み重ねにより醸成されていくのではないかと考えるからです。

(小林和人)