2025年 木工
アワード
blossom
食器
杉、真鍮
21×21×9㎝
¥66,000
鈴木 大樹
スズキ ダイキ
京都府京都市
略歴
- 2014年
- 京都伝統工芸大学校 卒業
中川木工芸 比良工房 入社 - 2023年
- 独立し木工作家として京都で活動を始める
- 2024年
- 京もの認定工芸士(京指物)認定
- 2025年
- 京都伝統工芸大学校 非常勤講師
作品について
現代では使われることが少なくなった「木桶」の技術を用いて器を制作しました。木桶の新しいカタチを日々模索している中、木の温かみをより感じることができるよう、やわらかい雰囲気を目指し8枚の花弁をイメージした形にしました。ハレの卓を彩る一助になれば幸いです。
- 表示価格はすべて税込です。
講評
上部は8枚の花弁が柔らかな膨らみを持ち、輪花の造形としての佇まいが無条件で美しい。桶造りの普通の構造は、竹製か金属製のタガを上下に嵌めることによって成立する器物です。本作は下部にのみ金属のタガを嵌めて完結しています。これは画期的な造形法であり、本作のように上部を複雑な形状にすることができ、今までの桶造りの概念を変えたことは、研究の成果であり、高く評価します。ことに杉の柾目の木目は優しく、何を入れても映える造形です。
私は今回の審査を拝命してから、一次審査から、実作の審査まで既視感のないもの、新しい技法、新たな用途を見出そうとしている作品に注目をしてきました。伝統を守り、丁寧に作り上げたものの持つ存在感より、今までにない別の視点で作り上げた作品に強く惹かれました。特に本作は、クラフトという言葉の解釈の本質を大きく広げて、次世代へ、海外へと展開しうる秀作だと思います。
(三田村 有純)